ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
ハイドロフェーン・オパール-蛋白石
2012/12/09/Sunday
【Hydrophane Opal】Delanta, Amhara, Ethiopia
鉱物名:オパール宝石名:プレシャス・オパール/ハイドロフェーン・オパール
英名:Precious Opal/Hydrophane Opal
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:エチオピア、スーダン
処理:-
流通名:プレシャス・オパール
エチオピアン・オパール(エチオピア産)
ウェロ・オパール(エチオピア・ウェロ産)
スーダン・オパール(スーダン産)
ハイドロフェーン・オパール
カメレオン・オパール
マジック・オパール
ミステリアス・オパール
オパールのうち、遊色を示すものをプレシャス・オパール、それ以外をコモン・オパールと呼びます。
画像の石はエチオピア・アムハラ州の高原地帯Delantaで産出したプレシャス・オパール。
エチオピア産のプレシャス・オパールは他のプレシャス・オパールに比べ、美しいものが安価で手に入るため、ここ数年で大量に流通しました。
あまり知られていない(らしい)のですが、エチオピア産プレシャス・オパールのほとんどはハイドロフェーンタイプ。
ハイドロフェーンタイプのオパールは通常のオパールとは異なり、吸水性が強く、水に浸すとその水を吸って乳白色から透明に変わります。
透明になると、クリスタル・オパールのように透き通った中に遊色が浮かぶ様が非常に美しく、印象ががらっと変わります。乾燥によって水分量が戻ると、透明度も元に戻ります。
湿度の高い日本では水分が抜けるのに数日かかることもあり、雨の日などは水に浸けなくても透けてゆきます。
この特徴から、カメレオン・オパール、ミステリアス・オパール、マジック・オパールという呼び名が生まれました。
一粒で二度おいしいとは正にこのこと。
しかしこの吸水性が実は曲者。
色水を吸ってしまえばオパールに色素が残りますし、水道水であればカルキを吸着してやはり変色してしまいます。
また、水を吸ってから乾燥する際に罅が入ってしまったり、透明度や遊色が落ちてしまうなど、非常にデリケートな面も。
宝飾・アクセサリー用に加工されるものは、産出する原石のなかでも比較的耐久性のある部分で、ある程度乾燥にも強い筈ですが、それでもやはり注意が必要。
ところが宝飾やビーズの業界のなかには、そんなハイドロフェーンの特徴について知識がない、またはその特徴をマイナス要素と捉え、伏せてしまうディーラーが少なくありません。
そのために、ハイドロフェーン・オパールの特徴や取扱い方についての言及がされないまま「エチオピアやスーダン産の安価なプレシャス・オパール」として流通し、汗や化粧品、カルキなどを吸着して変色してしまうトラブルが発生しているようです。
お手入れは若干面倒に思われがちですが、吸水性が高いこと以外は通常のオパールとそれほど変わりません。
ハイドロフェーン・オパールを身につけたあとは、放置せず、必ずお手入れをすること。
カルキの吸着を避けたい場合は、お手入れに使う水は純水を。
表面の汚れを落として、柔らかい布で水分を拭き取り、極度の乾燥を避けて保管してください。
乾燥のひどい時期には、水を入れたグラスを近くに置くなどして、適度に保湿するとよいです。水に浸けておく必要は特にありません。
エアコンやドライヤーの温風にはご注意を。
デリケートな石ですが、弱点を把握した上でケアを続けていれば、元のままの美しさを保つことが出来ます。
透明度の変化も含めて、お楽しみあれ。
スターバースト・ルチル-放射ルチル
2012/12/04/Tuesday
【Hematite with Rutile】Novo horizonte, Bahia, Brazil
鉱物名:ルチル/ヘマタイト
宝石名:-
英名:Rutile on Hematite/Rutile Sun/Hematite with Rutile
和名:金紅石/赤鉄鉱
モース硬度:6-6.5(ルチル)/5-6(ヘマタイト)
劈開:二方向に明瞭(ルチル)/なし(ヘマタイト)
産地:ブラジル、パキスタンetc...
処理:-
流通名:ルチル オン ヘマタイト
ヘマタイト・ルチル
スターバースト・ルチル
スター・ルチル
フラワー・ルチル
ルチル・サン
放射ルチル
太陽ルチル
黒いヘマタイトの結晶を中心に、平行に並んだルチル(酸化チタンの針状結晶)が放射状に延びたものは、放射ルチル、太陽ルチルなどと呼ばれています。
画像はブラジル産のゴールド・ルチル。
ヘマタイトを伴うゴールド・ルチルはクォーツに内包された状態で産出することが多く、タイチン・ルチルとして流通している場合もあります。
「タイチン・ルチル(太金針水晶)」とは、平行に並び束になったものや板状、針の太いゴールド・ルチルが水晶に内包されたルチレイテッド・クォーツを指すコマーシャルネーム。
タイチンのように束にならず隙間を残した状態で、平行に並んだルチルがシャトヤンシー(猫目効果)を示すものは「キャッツアイ・ルチル」と呼ばれます。
ルチル-金紅石
2012/12/03/Monday
【Rutile】Congo
鉱物名:ルチル
宝石名:ルチル
英名:Rutile
和名:金紅石
モース硬度:6-6.5
劈開:二方向に明瞭
産地:ブラジル、シエラレオネ、ロシア、アフガニスタン、マダガスカルetc...
処理:-
流通名:ルチル
金紅石
ティタニア(人工ルチル)
ルチルとは、酸化チタンの針状結晶のこと。
単体でアクセサリーなどに用いられることはあまりないようです。
また、ルチル結晶を内包したクォーツである「ルチレイテッド・クォーツ」が略称で「ルチル」と呼ばれていることが多いため、「ルチル=針入り水晶」という誤解が広まっています。
他種鉱物の針状結晶と混同されがちですが、ルチルには鋭い金属光沢があり、透けると赤く見える特徴があります。
ルチルの色は、基本的に金・銀・赤~茶・黒。単体では金色や濃い赤~黒の結晶がよく見られ、発色には鉄分の含有量が関係しています。
10%以下の鉄を含むと金色、鉄やマンガンの含有量が増えると赤茶色になるのだそう。
鉄が30%以上になると黒色になりますが、黒いルチルは比較的稀らしく、「ブラック・ルチル入り水晶」として流通しているもののほとんどはブラック・トルマリンかエジリンの針状結晶を含む水晶と見られます。
*スター石のルチル*
スター・ローズ・クォーツ、ミルキー・クォーツ、スター・ルビーやスター・サファイア。
これらに見られるスター(アステリズム)は、内包されるルチルが原因となっています。
ローズ・クォーツやミルキー・クォーツのスターは、発色原因でもある微細なルチル結晶によるもので、平行に並んだルチルに裏側から強い光を当てることで4~6条スターを示す「ダイアステリズム」。
スター・ルビーなどのコランダムの場合は、シルク・インクルージョンと呼ばれる密集したルチル結晶があり、表面にも2~3方向へ走る細かな筋が見えます。これに正面から強い光を当てると、4~6条のスター「エピアステリズム」を示します。
ただ透明度の高いローズ・クォーツと思っていたら、ペンライトでスターが出た!なんてこともあり、ちょっとした宝探しが楽しめます。
トラピッチェ・アメシスト
2012/11/08/Thursday
【Trapiche Amethyst】
鉱物名:クォーツ宝石名:トラピッチェ・アメシスト/ゲーサイト イン アメシスト
英名:Trapiche Amethyst/Goethite in Amethyst
和名:紫水晶/針鉄鉱入紫水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:ブラジル、マダガスカルetc...
処理:-
流通名:トラピッチェ・アメシスト
ゲーサイト イン アメシスト
カコクセナイト イン アメシスト(カコクセナイトは誤称?)
スーパーセブン(7種揃っている必要はない?)
セイクリッド・セブン(7種揃っている必要はない?)
エレスチャル(誤称を含む。スーパーセブンと関連)
放射能標識のような模様のアメシストに、さらに中心へ向かって放射状の模様を成すゲーサイト結晶が内包されたトラピッチェ・アメシスト。
「トラピッチェ」はスペイン語で、サトウキビを搾る農機具のこと。
トラピッチェに使われる6本スポークの歯車の形に似ていることから、6方向へ放射状の模様を持つ石には「トラピッチェ」の名がつけられます。
*ゲーサイトとカコクセナイト*
画像に見られる金茶色の針状結晶は、放射状~扇状に結晶したゲーサイトなのですが、これを「カコクセナイト」とする表記がかなり見られます。
カコクセナイトはリン酸塩鉱物の一種で、岩の間などに隠れるように結晶していたりしますが、水晶に内包されることは稀なようです。
おそらく誤解のもとは、『宝石・貴金属大辞典』における「カコクセナイトとは紫色、もしくは茶水晶の地に黄色のゲーサナイト・インクルージョンを含むもの」との記述ではないかと思われます。
ここから何故、茶色いゲーサイトを「カコクセナイト」と誤称するに至ったかはわかりません。
カコクセナイトは独立した鉱物です。
カコクセナイトインクォーツとして流通していた石を鑑別機関(中央宝石研究所)へ持ち込み、「ゲーサイト入りの水晶をカコクセナイトと呼ぶのか?」と問い合わせたところ、それは誤りであるとのこと。「誤解されているが、この内包物(金茶色の放射状の結晶)はゲーサイトであり、ゲーサイトを内包していてもカコクセナイトとは呼ばないので混同しないように」との回答でした。
この回答を信じるなら、少なくとも現在、『宝石・貴金属大辞典』のカコクセナイトに関する記述は誤りということに。
カコクセナイトは金茶色で放射状の結晶を持ち、画像のような金茶色の放射状結晶も、これがカコクセナイトであると言われれば納得してしまうほどに似ています。
しかし私の知る限りでは、この内包物に関しては「ゲーサイトであり、カコクセナイトではない」という鑑別結果ばかりで、カコクセナイトが出たという話は聞きません。
ただ、「ゲーサイト入り水晶」や「茶色いゲーサイト」が「カコクセナイト」ではない、ということだけは確かなようです。
サファイア-青玉
2012/11/01/Thursday
【Sapphire】Sri Lanka
鉱物名:コランダム
宝石名:サファイア
英名:Sapphire
和名:青玉/蒼玉
モース硬度:9
劈開:なし
産地:ミャンマー、スリランカ、タイ、インド、マダガスカル、タンザニア、
パキスタン、アフガニスタンetc...
処理:加熱、加熱+鉛ガラス含浸(色つきガラスの場合あり)
ベリリウム拡散加熱処理(表面から内側へかけての着色)
流通名:サファイア
ピンク・ルビー(ピンク・サファイアの誤称)
レッド・サファイア(ベリリウム拡散加熱処理による赤色のサファイア)
コランダムのうち赤いものを「ルビー」、その他の色を「サファイア」と呼びます。
ルビーの記事でも触れましたが、ピンクサファイアとルビーの境は非常に曖昧で、赤に限りなく近いピンクなどは鑑別のたびにルビーとサファイアの間を彷徨ったりします。
たまに、ピンク色のコランダムを「ピンク・ルビー」と称していることがありますが、ピンクと判断された時点でサファイアになるので、この名前には矛盾があります。
インド産の濃いピンクのコランダムが「ルビー」とされているケースも多いようです。
何故「ルビー」にしたいかといえば、「サファイア」よりも「ルビー」のほうが価値が高いとされ、価格にも差が出るから、という理由が大きいようです。
【Sapphire】Umba river, Tanzaia & Pakistan & Afghanistan
サファイアには色の改善を目的とした加熱処理が施されるのが通常で、非加熱でも美しいものは非常に限られます。
特にビーズに加工されるような宝石質以下の安価なものは、加熱か、加熱+含浸処理が施されている場合が殆どです。
これもルビーと同じで、「非加熱」「ナチュラル」との表記があっても、調べてみたら加熱済みのパターンがよくあります。
画像のルビー~ピンクサファイアには加熱が施されています。
さらに鉛ガラスによる含浸処理により透明度が上がったものも増えています。
こういったものを「高品質」として販売している場合があるため、目が慣れていない場合は要注意。
こうした処理の有無が問題になるのは、価格や価値の問題もありますが、それ以上に耐久性に違いが出てくるからです。
コランダムは、加熱すると少し脆くなります。
また、鉛ガラス含浸処理を施されるものにはもともと大きな傷があるので、衝撃に弱いこと、それ故に超音波洗浄や修理などが出来ないこと、鉛ガラスが酸に弱く溶け出す場合があるため、通常のコランダムのように扱うことが出来ないのです。
加熱や含浸処理自体は、見目のよくないコランダムを美しく見せるための技術なので、正しく扱いさえすれば何も問題はありません。
一番の問題は、こうした処理について知識がなかったり、知っていながら隠して販売してしまうケースが多いこと。
処理が施されていることをマイナス要素として受け止めているために、売りやすさ優先で無処理と偽ってしまう(または無処理と誤解されやすい表記をする)ようです。
*ベリリウム拡散加熱処理*
鉛ガラス含浸と並んで近年かなり増えているのが、ベリリウムを表面拡散したサファイア。
ベリリウムとは、ベリルに含まれる原子番号4の元素。それを加熱によってサファイアの表面に拡散すると、表面から内部にかけて色が浸透します。
ベリリウムを表面拡散した大きめのサファイアを輪切りにすると、ウォーターメロン・トルマリンのように内側と外側で色が違うとのこと。
もとが透明なら明るい黄色のイエロー~ゴールデンカラーに、もとがピンク色ならパパラチャのようなオレンジッシュ・ピンクに変化するそうです。
パパラチャ・サファイアは希少価値が高く、高価で人気もある宝石。
このパパラチャのなかに、ベリリウムの表面拡散により色を作られたものが混じって流通していることがGIA(米国宝石学協会)の発表で明らかになり、問題となったのが2001年。
中央宝石研究所の方の話では、ルースでもかなり出回っているが、特にビーズに加工されているもので綺麗な黄~オレンジ系のサファイアはほぼベリリウム拡散加熱処理によるものとのこと。
その話を伺った後、緑や青のサファイアからもベリリウムが出たとのことなので、色に限らず多くのサファイアに施されている可能性があります。
一時期「レッド・サファイア」という名前の赤いサファイアがあり、何故ルビーではないのか?と疑問に思っていたところ、どうやらベリリウムの拡散によって赤く発色したタイ産のサファイアであったことが分かりました。
流通の現場に於いて、ベリリウム拡散加熱処理についてはっきりと触れられているケースはまだ少なく(ビーズに関しては絶望的)注意が必要ですが、単なる着色とは異なり、色落ちの心配はないようです。
プロフィール
HN:
Yati
HP:
性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
ブログ内検索
カテゴリー
*ご注意*
当サイトの掲載内容には個人的見解が含まれます。
鉱物名や分類等の情報の変更につきましても
リアルタイムで反映されるものではありません。
あくまでもご参考程度にご覧くださいますよう
お願い申し上げます。
※掲載内容のミス、変更等につきましては
発覚次第、順に修正致します。
お気付きの点がございました場合は
ご指摘戴けると有難いです。
※無断転載はご遠慮ください。
鉱物名や分類等の情報の変更につきましても
リアルタイムで反映されるものではありません。
あくまでもご参考程度にご覧くださいますよう
お願い申し上げます。
※掲載内容のミス、変更等につきましては
発覚次第、順に修正致します。
お気付きの点がございました場合は
ご指摘戴けると有難いです。
※無断転載はご遠慮ください。
最新記事
(10/04)
(10/03)
(03/05)
(03/01)
(02/15)
カウンター
PR