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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
サファイア-青玉
【Sapphire】Sri Lanka
 
鉱物名:コランダム
宝石名:サファイア
英名:Sapphire
和名:青玉/蒼玉
モース硬度:9
劈開:なし
産地:ミャンマー、スリランカ、タイ、インド、マダガスカル、タンザニア、
   パキスタン、アフガニスタンetc...

処理:加熱、加熱+鉛ガラス含浸(色つきガラスの場合あり)
    ベリリウム拡散加熱処理(表面から内側へかけての着色)

流通名:サファイア
     ピンク・ルビー(ピンク・サファイアの誤称)
     レッド・サファイア(ベリリウム拡散加熱処理による赤色のサファイア)


コランダムのうち赤いものを「ルビー」、その他の色を「サファイア」と呼びます。
ルビーの記事でも触れましたが、ピンクサファイアとルビーの境は非常に曖昧で、赤に限りなく近いピンクなどは鑑別のたびにルビーとサファイアの間を彷徨ったりします。
たまに、ピンク色のコランダムを「ピンク・ルビー」と称していることがありますが、ピンクと判断された時点でサファイアになるので、この名前には矛盾があります。
インド産の濃いピンクのコランダムが「ルビー」とされているケースも多いようです。
何故「ルビー」にしたいかといえば、「サファイア」よりも「ルビー」のほうが価値が高いとされ、価格にも差が出るから、という理由が大きいようです。
 
【Sapphire】Umba river, Tanzaia & Pakistan & Afghanistan
 
サファイアには色の改善を目的とした加熱処理が施されるのが通常で、非加熱でも美しいものは非常に限られます。
特にビーズに加工されるような宝石質以下の安価なものは、加熱か、加熱+含浸処理が施されている場合が殆どです。
これもルビーと同じで、「非加熱」「ナチュラル」との表記があっても、調べてみたら加熱済みのパターンがよくあります。
画像のルビー~ピンクサファイアには加熱が施されています。
さらに鉛ガラスによる含浸処理により透明度が上がったものも増えています。
こういったものを「高品質」として販売している場合があるため、目が慣れていない場合は要注意。

こうした処理の有無が問題になるのは、価格や価値の問題もありますが、それ以上に耐久性に違いが出てくるからです。
コランダムは、加熱すると少し脆くなります。
また、鉛ガラス含浸処理を施されるものにはもともと大きな傷があるので、衝撃に弱いこと、それ故に超音波洗浄や修理などが出来ないこと、鉛ガラスが酸に弱く溶け出す場合があるため、通常のコランダムのように扱うことが出来ないのです。

加熱や含浸処理自体は、見目のよくないコランダムを美しく見せるための技術なので、正しく扱いさえすれば何も問題はありません。
一番の問題は、こうした処理について知識がなかったり、知っていながら隠して販売してしまうケースが多いこと。
処理が施されていることをマイナス要素として受け止めているために、売りやすさ優先で無処理と偽ってしまう(または無処理と誤解されやすい表記をする)ようです。


【Corundum】Tanzaia

*ベリリウム拡散加熱処理*
鉛ガラス含浸と並んで近年かなり増えているのが、ベリリウムを表面拡散したサファイア。
ベリリウムとは、ベリルに含まれる原子番号4の元素。それを加熱によってサファイアの表面に拡散すると、表面から内部にかけて色が浸透します。
ベリリウムを表面拡散した大きめのサファイアを輪切りにすると、ウォーターメロン・トルマリンのように内側と外側で色が違うとのこと。
もとが透明なら明るい黄色のイエロー~ゴールデンカラーに、もとがピンク色ならパパラチャのようなオレンジッシュ・ピンクに変化するそうです。

パパラチャ・サファイアは希少価値が高く、高価で人気もある宝石。
このパパラチャのなかに、ベリリウムの表面拡散により色を作られたものが混じって流通していることがGIA(米国宝石学協会)の発表で明らかになり、問題となったのが2001年。 
中央宝石研究所の方の話では、ルースでもかなり出回っているが、特にビーズに加工されているもので綺麗な黄~オレンジ系のサファイアはほぼベリリウム拡散加熱処理によるものとのこと。
その話を伺った後、緑や青のサファイアからもベリリウムが出たとのことなので、色に限らず多くのサファイアに施されている可能性があります。
 
一時期「レッド・サファイア」という名前の赤いサファイアがあり、何故ルビーではないのか?と疑問に思っていたところ、どうやらベリリウムの拡散によって赤く発色したタイ産のサファイアであったことが分かりました。
流通の現場に於いて、ベリリウム拡散加熱処理についてはっきりと触れられているケースはまだ少なく(ビーズに関しては絶望的)注意が必要ですが、単なる着色とは異なり、色落ちの心配はないようです。
ルビー-紅玉
【Glassfield Ruby】Thailand & Antsiranana, Madagascar

鉱物名:コランダム
宝石名:ルビー
英名:Ruby
和名:紅玉
モース硬度:9
劈開:なし
産地:ミャンマー、スリランカ、タイ、インド、マダガスカル、タンザニアetc...

処理:加熱、加熱+鉛ガラス含浸(色つきガラスの場合あり)

流通名:ルビー
     ピンク・ルビー(ピンク・サファイアの誤称)


コランダムのうち赤いものを「ルビー」、その他の色を「サファイア」と呼びます。
ルビーとピンクサファイアの境は非常に曖昧で、鑑別でも場合によってルビーと出たりサファイアと出たり。ルビーとして仕入れたものが、鑑別結果を見たらピンク・サファイアだった…ということもしばしば。
サファイアよりもルビーの方が価値があるとされ、価格も高くなるので、なかにはピンク・サファイアにルビーの値をつけ、「ルビー」「ピンク・ルビー」として販売されているケースもあります。
ピンク色の時点でルビーの定義を外れているため、「ピンク・ルビー」という名前には矛盾があるのですが。

ルビーには色の改善を目的とした加熱処理が施されるのが通常で、非加熱でも美しいものは非常に限られます。
特にビーズに加工されるような宝石質以下の安価なものは、加熱か、加熱+含浸処理が施されている場合が殆どです。
サファイアにも同じことが言えますが「非加熱」「ナチュラル」との表記があっても、調べてみたら実はしっかり加熱済み、なんていうことも日常茶飯事。
画像のルビー~ピンクサファイアには鉛ガラスが含浸されています。
こちらも「加熱処理」として販売されていることがありますが、よく突っ込んで訊くと加熱+含浸、というケースがあります。
販売者側が処理についての正しい知識を持っていない場合も少なくないようです。


【Glassfield Ruby】Antsiranana, Madagascar

*鉛ガラス含浸ルビー(ニューヒート/グラスフィールド)*
鉛ガラス含浸ルビーとは、もとは不透明で傷の多いルビーを加熱すると同時に鉛ガラスを染み込ませ、内部の傷を埋めてしまうことで透明度を劇的に改善させたもの。
無処理もしくは加熱処理のみのルビーと区別するため、「含浸」「鉛ガラス含浸」「鉛含浸」「ニューヒート」「グラスフィールド」等の注釈が添えられますが、言及されていないケースも多々あります。

鉛ガラス含浸ルビーは近年大量に流通しており、非常に安価で美しいため人気がありますが、通常のルビーと同じように扱うことは出来ません。
粒全体の透明度が上がるほどガラスを含浸させるには、元となるルビーに内部まで到達する傷がある程度入っている必要があります。また、加熱と同時にガラスを含浸させるのですが、加熱による色の改善だけでなく、ガラスにも色がついている場合があります。
画像の2つのルビーは同じ含浸ルビーのビーズ。右側は薬品で少しガラスを溶かし出したもので、傷の多さがよく分かります。

ルビーのモース硬度は9で、劈開はなし。本来は丈夫な石の筈ですが、加熱によって脆くなっていることに加え、罅はガラスで埋められているだけなので、割れやすいのです。
衝撃や振動、超音波洗浄などはNG。
また、含浸されているガラスは熱や酸に弱く、弱酸性の家庭用洗剤や、レモンジュースでダメージが見受けられたとの報告もあります。
通常、肌に触れる程度では問題ないようですが、なるべく酸性のものを避け、普段から水洗いなどでケアしておく必要があります。

慣れるとある程度は質感で判別することも可能ですが、手っ取り早くガラス含浸かどうかを見分けたいときは、ガラス含浸の特徴であるフラッシュ(虹)の確認や、酸洗いなどの方法があります。
酸洗いには市販のピックリングコンパウンド(主成分:亜硫酸水素ナトリウム)が安全でお手軽。酸に浸していて、表面に白い被膜のようなものが出てきたり、明らかに透明度が落ちたり、それまでになかった罅が見えたりしたら、酸で鉛ガラスが溶け出したことになります。

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プロフィール
HN:
Yati
HP:
性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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