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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
メニライト-珪乳石
【Menilite】Spain
 
鉱物名:メニライト
宝石名:メニライト
英名:Menilite
和名:珪乳石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:フランス、スペイン、カナダ、モロッコ、日本

処理:-

流通名:メニライト
     リバー蛋白石/リバー・オパール
     フェアリー・オパール
     菩薩石
     仏石
     こぶり石
     津軽小僧(火成岩起源?)


石膏のようなすべすべの質感、楕円形で構成された白い石。
珪藻土中に産出する不純物の多いオパールの変種で、産地によって灰色やうっすら赤味を帯びた色味のものがありますが、こちらのスペイン産は比較的白くて肌理の細かなものになります。
 【Menilite】Spain
 メレンゲかホイップクリームみたい。

この奇妙な形のオパールは、フランス・パリのメニルモンタン地方で産出したことから名付けられました。珪藻の殻などの沈殿物を多く含んでいて、表面は不透明ですが、割ると中は半透明のコモン・オパールなのだそう。
 
【Menilite】Spain
 巻貝の化石の痕が残っています。
 
まるい形がひとつならお餅、ふたつなら雪だるま。
複雑に入り組んでいると、動物や人の形にも見えてくることから「フェアリー・オパール」等の呼び名がついたようです。能登半島の珠洲市で採れるメニライトは「こぶり石」「仏石」として有名で、保存会や愛好会もあり根強いファンがいる様子。
日本産のメニライトとして他に「津軽小僧」が紹介されていますが、こちらは火成岩中に産出する為、珪藻土から産出するメニライトとは似て非なるもののようです。
カンテラ・オパール-蛋白石
【Cantera Opal】Mexico
鉱物名:オパール
宝石名:カンテラ・オパール
英名:Cantera Opal
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:メキシコ、オーストラリア、ブラジル

処理:-

流通名:カンテラ・オパール
     メキシカン・オパール


メキシコ産のカンテラ・オパール。
「カンテラ」は現地の言葉で、オパールの母岩である流紋岩を指す名前。
白~茶褐色の不透明でざらりとした肌の流紋岩のなかに、つるりとして透明感のあるオパールの部分があり、それらを一緒に切り出し磨き上げます。
 
【Cantera Opal】Mexico
 
オパール部分は遊色を示すプレシャス・オパール。虹色のファイアを浮かべる赤~オレンジ色のオパールの底に凸凹とした母岩との境目が透けて見える様子は、まるで燃えるような夕焼けの空や、乾燥した土地にぽっかりと開けた深い湖のような風景を想わせます。

母岩とともに切り出すことで天然の風合いを生かしたカンテラ・オパールですが、これにも所謂「偽物」が存在します。
小さく、宝飾用に利用できないようなオパールのかけらを、流紋岩もしくはよく似た岩でできた練り石に埋め込んで、見かけを似せるとのこと。
これは継ぎ目が目立つので、見分けるのはさほど困難ではないようです。
オパール・キャッツアイ-蛋白石
オパール・キャッツアイ
Opal Cat's Eye】Tanzania

鉱物名:オパール
宝石名:オパール・キャッツアイ
英名:Opal Cat's Eye
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:タンザニア、ブラジル

処理:-

流通名:オパール・キャッツアイ/キャッツアイ・オパール
     ハニー・オパール・キャッツアイ(黄色)
     ドラゴンアイ/龍目石(主に緑色)



オパールのうち、遊色を示すものをプレシャス・オパール、それ以外をコモン・オパールと呼びます。
画像の石は、タンザニア産のオパール・キャッツアイ。
象牙色のコモン・オパールに絹糸光沢を持つ繊維状組織の層が含まれており、光を受けるとシャトヤンシー(キャッツアイ効果)を示すため、まるでシルクのリボンを巻いたように見えます。
この繊維状組織については「石綿(アスベスト)」と聞いています。この石綿がクリソタイルなのか、クロシドライトなどのアンフィボール系なのかは不明です。
他のキャッツアイ石と同様、カボションやスフィアなど、曲面のあるカットを施すことでくっきりとした「猫の目」を見ることが出来ます。

他に、プレシャス・オパールの遊色が猫目状に浮かぶタイプの「オパール・キャッツアイ」もあるようです。
こちらは現物を所持していないため、良い出会いを期待。



*グリーン・オパールと目のないドラゴン*
キャッツアイ・オパールのなかでも、緑色のものは「ドラゴンアイ」と呼ばれることが多いようです。
ドラゴンアイは、緑色のコモン・オパールに染み込んだセレナイト(透石膏)によりシャトヤンシーを示すもの。
しかしビーズなどで見かける「ドラゴンアイ」には、シャトヤンシーを示さないものがたくさんあります。

そもそも「キャッツアイ(猫目石)」とは文字通り、繊維状組織に反射した細い光の帯が猫の目を思わせる石の総称。
単純に「キャッツアイ」といった場合にはクリソベリル・キャッツアイを指しますが、シャトヤンシーを示す石であればなんでも「○○(宝石名)・キャッツアイ」もしくは「○○(宝石名)・アイ」といった名称で呼ばれます。
クロシドライトが珪化した「タイガーズアイ」や「ホークスアイ」なども、シャトヤンシーを動物の目に例えて呼ばれる名称です。

「ドラゴンアイ」も龍の目に因む名前であるなら、この名前で呼ばれる石は即ちシャトヤンシーを示す石である筈。
たとえひとつのオパール原石から削りだしたものであっても、「目」の見える部分はオパール・キャッツアイであり、「目」の見えない部分はコモン・オパールとなります。
「グリーン・オパールのうち、シャトヤンシーを示すもの」が「ドラゴンアイ」と名付けられたからといって、「ドラゴンアイの原石(グリーン・オパール)」の全ての部分が「ドラゴンアイ」ではありません。
市場ではたまにその区別が為されず、「グリーン・オパール=ドラゴンアイ」とされていることがあります。

また、母岩を含む緑色のコモン・オパール(マトリックス・コモン・オパール)を指して「ドラゴンアイ」と呼んでいる場合もあります。母岩の茶褐色とグリーン・オパールの混ざりあったこの石が、どういった特徴を指して「ドラゴンアイ」と呼ばれたのかは興味深いところ。
シャトヤンシーがなくとも、龍の目のように見える模様があるなど、どこかが「目」に繋がっていれば合点がゆきますが、私の見る限りでは、その「目」がどこにも見当たらないのです。
龍は眠るのが好きな生き物と言いますが、失明させてしまっては可哀想。



*ドラゴンアイと龍眼石*
ところで「龍眼石」というものがあります。
主に揖斐川や丹波地方から産出され、盆栽などに好んで用いられている、石灰岩や凝灰岩、石英などの混在する岩石です。
風雨に晒したり酸で溶かしたりすると、浸食された白い石灰岩や石英の部分が龍の目のように見えるので「龍眼石」と呼ぶのだそうです。
西洋のドラゴンと東洋の龍。
同じ言葉に当て嵌められていても、それぞれ全く違った魅力があるものです。
ハイドロフェーン・オパール-蛋白石
【Hydrophane Opal】Delanta, Amhara, Ethiopia
鉱物名:オパール
宝石名:プレシャス・オパール/ハイドロフェーン・オパール
英名:Precious Opal/Hydrophane Opal
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:エチオピア、スーダン

処理:-

流通名:プレシャス・オパール
     エチオピアン・オパール(エチオピア産)
     ウェロ・オパール(エチオピア・ウェロ産)
     スーダン・オパール(スーダン産)
     ハイドロフェーン・オパール
     カメレオン・オパール
     マジック・オパール
     ミステリアス・オパール


オパールのうち、遊色を示すものをプレシャス・オパール、それ以外をコモン・オパールと呼びます。
画像の石はエチオピア・アムハラ州の高原地帯Delantaで産出したプレシャス・オパール。
エチオピア産のプレシャス・オパールは他のプレシャス・オパールに比べ、美しいものが安価で手に入るため、ここ数年で大量に流通しました。

あまり知られていない(らしい)のですが、エチオピア産プレシャス・オパールのほとんどはハイドロフェーンタイプ。
ハイドロフェーンタイプのオパールは通常のオパールとは異なり、吸水性が強く、水に浸すとその水を吸って乳白色から透明に変わります。
透明になると、クリスタル・オパールのように透き通った中に遊色が浮かぶ様が非常に美しく、印象ががらっと変わります。乾燥によって水分量が戻ると、透明度も元に戻ります。
湿度の高い日本では水分が抜けるのに数日かかることもあり、雨の日などは水に浸けなくても透けてゆきます。
この特徴から、カメレオン・オパール、ミステリアス・オパール、マジック・オパールという呼び名が生まれました。
一粒で二度おいしいとは正にこのこと。

しかしこの吸水性が実は曲者。
色水を吸ってしまえばオパールに色素が残りますし、水道水であればカルキを吸着してやはり変色してしまいます。
また、水を吸ってから乾燥する際に罅が入ってしまったり、透明度や遊色が落ちてしまうなど、非常にデリケートな面も。
宝飾・アクセサリー用に加工されるものは、産出する原石のなかでも比較的耐久性のある部分で、ある程度乾燥にも強い筈ですが、それでもやはり注意が必要。
ところが宝飾やビーズの業界のなかには、そんなハイドロフェーンの特徴について知識がない、またはその特徴をマイナス要素と捉え、伏せてしまうディーラーが少なくありません。
そのために、ハイドロフェーン・オパールの特徴や取扱い方についての言及がされないまま「エチオピアやスーダン産の安価なプレシャス・オパール」として流通し、汗や化粧品、カルキなどを吸着して変色してしまうトラブルが発生しているようです。

お手入れは若干面倒に思われがちですが、吸水性が高いこと以外は通常のオパールとそれほど変わりません。
ハイドロフェーン・オパールを身につけたあとは、放置せず、必ずお手入れをすること。
カルキの吸着を避けたい場合は、お手入れに使う水は純水を。
表面の汚れを落として、柔らかい布で水分を拭き取り、極度の乾燥を避けて保管してください。
乾燥のひどい時期には、水を入れたグラスを近くに置くなどして、適度に保湿するとよいです。水に浸けておく必要は特にありません。
エアコンやドライヤーの温風にはご注意を。

デリケートな石ですが、弱点を把握した上でケアを続けていれば、元のままの美しさを保つことが出来ます。
透明度の変化も含めて、お楽しみあれ。
オパライズド・フローライト
Morado Opal】Mexico

鉱物名:オパール
宝石名:オパライズド・フローライト/バイオレット・コモン・オパール
英名:Opalized Fluorite/Violet Common Opal
和名:-
モース硬度:4-6.5
劈開:なし
産地:メキシコ、アメリカ

処理:-

流通名:オパライズド・フローライト
     バイオレット・コモン・オパール
     フローライト・オパール
     アイスクリーム・オパール
     アイスクリーム・オパライト
     モラド・(メキシコ産)
     ティファニーストーン(アメリカ・ユタ産、混合石)
     ティファニー・ジャスパー(アメリカ・ユタ産、混合石)
     バイオレット・フレーム・オパール(メキシコ産、混合石)
     ベルトランダイト(混合石を構成する鉱物のうちひとつを指す)


画像の石は、メキシコ産の「モラド・オパール」のノジュール。
「モラド」は現地の言葉(メキシコ・スペイン語)で紫色~やや暗めの紫色を指します。
オパライズド・フローライトとは、オパール化したフローライトのこと。遊色のないコモン・オパールです。
オパライズド・フローライトだけでなく更にカルサイト、カルセドニー、ロードナイト、ドロマイト、ベリル、コバルト、マンガン酸化物、ベルトランダイト、クォーツ、亜鉛等が混合したものに、アメリカ・ユタ産の「ティファニーストーン」やメキシコ産の「バイオレット・フレーム・オパール」があります。
火山活動によって堆積した様々な鉱物により、美しい模様が現れています。
産地が限られており、また産出量も少ないため、良質なものは稀少となっているようです。



【Tiffany StoneBrush Wellman Mine, Utah, USA

*産地ごとの呼び分け*
最初に発見されたオパライズド・フローライトは、アメリカ・ユタ州のブラッシュウェルマン鉱山の「ティファニーストーン」。混合石を構成する鉱物のひとつを取って「ベルトランダイト」とも。
「ティファニーストーン」というコマーシャルネームの由来は、ティファニーの創設者の子息ルイス・カムフォート・ティファニーのステンドグラス作品(メトロポリタン所蔵)に似ていたことから、採掘者が名付けたそうです。
後にメキシコからも同じようなオパライズド・フローライトが産出し、区別のために「バイオレット・フレーム・オパール」や「モラド」という名前で呼ばれているようですが、「メキシコ産ティファニーストーン」という名前も見掛けるため、実のところあまり区別されずに流通している可能性があります。
上の画像はティファニーストーンとして入手しましたが、もしかしたらメキシコ産かも?

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プロフィール
HN:
Yati
HP:
性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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