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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
レインボー・アンドラダイト・ガーネット

【Rainbow Andradite Garnet】日本 奈良県 吉野郡 天川村

鉱物名:アンドラダイト・ガーネット
宝石名:レインボー・アンドラダイト・ガーネット
英名:Rainbow Andradite Garnet
和名:灰鉄柘榴石
モース硬度:6.5-7
劈開:なし
産地:日本、メキシコ、アメリカ

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流通名:レインボー・ガーネット
     スーパーレインボー・ガーネット

 
虹色に輝くアンドラダイトが最初に発見されたのは、アメリカのネバダ。
次にメキシコのソノラからも産出していますが、これらは純粋なアンドラダイトではなくグランダイト(グロッシュラーとの固容体)で、光の散乱によって黒っぽいアンドラダイトに虹色が表れるというものでした。
 
その後、日本の天川村周辺で発見された虹色のガーネットはほぼ純粋なアンドラダイトで、透明度の高い宝石質の結晶が産出されています。
このメタリックな虹色は、アンドラダイトの屈折率の高さと、熱水による融食から成る薄膜構造が重なった結果、複雑な光の干渉を起こすことで生まれるものだとか。
表面だけに見られる彩ではなく、カットしても内側から虹色が浮かび上がります。
この虹を効果的に魅せられるチェッカーボードカットが施された宝飾用ルースも出回っていますが、風化の影響で通常のアンドラダイトよりもやや脆くなっている為、デリケートな宝石として留意しておく必要がありそうです。
スペサルティン on スモーキー・クォーツ
【Spessartine on Smoky Quartz】中国・広東省

鉱物名:クォーツ/スペサルティン
宝石名:スモーキー・クォーツ/スペサルティン・ガーネット
英名:Spessartine on Smoky Quartz/Spessartine with Smoky Quartz
和名:満礬柘榴石/煙水晶
モース硬度:5(スペサルティン)/7(スモーキークォーツ)
劈開:なし(スペサルティン)/なし(スモーキークォーツ)
産地:中国、タンザニア、アフガニスタン、ドイツ

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流通名:スペサルティン on スモーキー・クォーツ
     スペサタイト on スモーキー・クォーツ
     マンダリン・ガーネット on スモーキー・クォーツ


中国・広東省産のスペサルティンとスモーキー・クォーツの共生体。
黒に近い半透明のスモーキー・クォーツのポイントに被さるように、明るいオレンジ色のスペサルティン・ガーネットの結晶が成長しています。よく見るとクォーツ内部に入り込んでいるものもあります。

スペサルティンの名前の由来はドイツの産地Spessart(スペッサルト)に因んだもの。
ガーネットグループの中でのスペサルティンはパイラルスパイトに分類されます。
パイラルスパイトとは、アルミニウムを含むガーネットであるパイロープ、アルマンディン、スペサルティンの3種類の名前を合わせたもの。
これらはアルミニウム・ガーネットと呼ばれ、それぞれアルミニウムの組成比が一定で、加えてマンガンを含むものがスペサルティンとなります。マンガンの一部が鉄イオンに置換されるとアルマンディンに近づき、鉄イオンが多くなるほど赤くなります。
特に鮮やかなオレンジ色のものは、柑橘類を連想させることから「マンダリン・ガーネット」の愛称で親しまれています。
ピンク・グロッシュラー-灰礬柘榴石

【Pink Grossular Garnet】Mexico

鉱物名:グロッシュラー・ガーネット
宝石名:ピンク・グロッシュラー・ガーネット
英名:Pink Grossular Garnet
和名:灰礬柘榴石
モース硬度:7-7.5
劈開:なし(裂開:一方向に明瞭)
産地:メキシコ、スリランカ

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流通名:ピンク・グロッシュラー
     ラズベリー・グロッシュラー
     ラズベリー・ガーネット
     ロゾライト(メキシコ産のみ)


メキシコ産のピンク色のグロッシュラー・ガーネット。
スペイン語で薔薇色を指す「Roso」からとって「ロゾライト(薔薇色の石)」、または「ラズベリー・ガーネット」「ラズベリー・グロッシュラー」などと呼ばれます。
ピンク色をしているのは表面近くの層で、内部はメラナイト(黒色のアンドラダイト・ガーネット)。
写真の石も、ピンクのグロッシュラー・ガーネットの内部にメラナイトの黒が透けて見えています。

グロッシュラーは、ガーネットに分類される鉱物の一種。
最初に発見されたグロッシュラーが西洋スグリのようなグリーンだったため、西洋スグリを意味する「Grossularia」が語源となっています。
ガーネットグループの中では、グロッシュラーはウグランダイトに分類されます。
ウグランダイトとは、カルシウムを含むガーネットであるウバロバイト、グロッシュラー、アンドラダイトの3種類の名前を合わせたもの。これらはカルシウム・ガーネットと呼ばれることもあります。

純粋なグロッシュラーガーネットは無色透明ですが、含有物によるグリーンやイエロー系統のカラーが一般的。
ピンク・グロッシュラーの色は、カルシウムの一部がマンガンに置き換わることで、スペサルティンのように赤みを帯びた発色になっているためです。
ガーネットグループの鉱物は成分の差によって分類されていますが、それぞれが置換しあうことが多いために純粋な結晶はほとんどありません。
大抵は互いに混じり合った固溶体として産出され、様々なバリエーションを見ることが出来ます。
アルマンディン・ガーネット-鉄礬柘榴石
【Almandine Garnet】Pakistan
 
鉱物名:ガーネット
宝石名:アルマンディン・ガーネット
英名:Almandine Garnet
和名:鉄礬柘榴石
モース硬度:7-7.5
劈開:なし(裂開:一方向に明瞭)
産地:インド、カナダ、ブラジル、アフガニスタン、スリランカ、中国、日本etc…

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流通名:ガーネット
     レッド・ガーネット(アルマンディンまたはパイロープを指す)
     コモン・ガーネット(ありふれた普通のガーネットの意)
     アルマンディン/アルマンダイン/アルマンダイト・ガーネット
     柘榴石
     鉄礬柘榴石
     シリアン・ガーネット(紫がかったもの)
     セイロン・ルビー(スリランカ産。ルビーは誤称)
     オーストラリアン・ルビー(オーストラリア産。ルビーは誤称)
     カーバンクル(主にカボションを指す)
     金剛砂(研磨剤として使用)


ガーネットにも様々な色がありますが、真っ先に思い浮かぶのは深い赤色のアルマンディン。
アルマンディンはガーネットグループに属する石のうち最も産出量が多く、目に触れる機会も多い身近な宝石のひとつです。
同じ赤色のパイロープとは非常に似ており、色だけでは区別のつかないものもありますが、基本的にはパイロープは血のような赤色、アルマンディンはそれよりもやや紫がかった暗赤色を示します。

ガーネットグループの中でのアルマンディンはパイラルスパイトに分類されます。
パイラルスパイトとは、アルミニウムを含むガーネットであるパイロープ、アルマンディン、スペサルティンの3種類の名前を合わせたもの。これらはアルミニウム・ガーネットと呼ばれることもあります。
アルマンディンは鉄とアルミニウムを含み、鉄が多くなるほど赤黒くなります。
また、鉄の一部がマグネシウムと置換されるとアルマンディンとパイロープの中間のロードライトに、マンガンと置換されるとスペサルティンになります。
それぞれ純粋な結晶は非常に稀少で、大抵は互いに混じり合った固溶体として産出するため、外見での区別が難しいものは「ガーネット」として一括りに扱われています。
ペグマタイトの中に産出するアルマンディンは不純物の混入が少ないために透明度が高く宝飾向きですが、雲母の中に産出するものには不透明なものが多く、宝石質の原石は採れないようです。


*金剛砂*
彫金では日常的に「金剛砂(こんごうしゃ)」と呼ばれる研磨剤を使います。
すりガラスなどを作成する際のサンドブラスト加工で、表面に吹き付ける砂としても使いますが、それよりもさらに身近なのは、耐水ペーパー、サンドペーパーなどと呼ばれる、いわゆる紙やすり。
紙やすりは金剛砂を膠で紙に敷き詰めたもので、金属や木材などオールマイティーに使えますが、特に木材加工用などの際に使う目の粗い紙やすりからは赤茶色の小さな粒がポロポロと落ちます。あれがアルマンディンです。
紙やすりは、そのままずばり「ガーネットペーパー」とも呼ばれます。

「金剛砂」は、宝飾用にならない非常に小さなアルマンディン、不純物の多いコランダム、エメリー鉱などの鉱物を大きさでふるい分けて使う研磨剤の総称です。
「金剛」はダイヤモンドの和名にもなっており、要は「固い」ということ。さらに金剛砂を産出する奈良と大阪の境の山には金剛山と名がつきました。
金剛砂はホームセンターで袋売りされていたり、紙やすりとしてどこでも手に入れることができますが、それがガーネットであることについてはあまり意識されないものかもしれません。
うんと細かくなってしまうとただの赤茶けた粉末のようですが、荒目の紙やすりからぼろぼろ落ちた砂粒を拡大してよく見てみると、確かにガーネットの面影があります。
研磨剤としてのガーネットの歴史は古いものの、最近では炭化ケイ素などの人造研磨剤が主流になっているため、天然鉱物からなる金剛砂の使用は減少しつつあります。
 
 
*ブルー・カーバンクル*
アーサー・コナン・ドイル著の小説のなかに、「Blue Carbuncle」という宝石が登場します。「青いガーネット」「青い柘榴石」等と訳されますが、より正確に訳すなら「青いカーバンクル」です。
カーバンクルはラテン語で「燃える石炭」の意味。もとはアルマンディンの透明度を高く見せるためにカボションの裏側を刳り抜いて厚みを減らしたカットのことでしたが、転じてカボション型に磨かれた赤い宝石全般を指すようになったとのこと。
そのためカーバンクル=ガーネットとは限らないのですが、カーバンクルの代表的なものがガーネットであったなら、ガーネットを指していても不思議はありません。
しかし当時、ガーネットといえば赤いもの。緑色のガーネットが発見される以前の小説です。現在、青いガーネットは合成で作り出すことはできますが、自然界からは発見されていません。
ドイル氏が何を想定していたのかはわかりませんが、個人的にはホームズの発言「炭素の結晶」から、当初はガーネットではなく青いダイヤモンドになる予定だったのではないか…などと考えてしまいます。

※かつては「青い紅玉」との訳がありましたが、紅玉とはルビーの和名。
ルビーはコランダムの赤いもののみを指し、赤以外ならばサファイアになります。ルビーとサファイアは色で区別されるため「青いルビー」というものは存在しません。
近年ではこの点が見直され、「青いガーネット」「青い柘榴石」の訳が用いられています。

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プロフィール
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Yati
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女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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