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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
エレスチャル・クォーツ
【Elestial Quartz】Pakistan
 
鉱物名:クォーツ
宝石名:ロック・クリスタル
英名:Rock Crystal
和名:水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:パキスタン

処理:-

流通名:エレスチャル・クォーツ(ジャカレー、スケルタルを含む場合あり)
     骸骨水晶(誤称を含む。ジャカレー、スケルタルと関連)
 
 
「エレスチャル」はパワーストーン関係のコマーシャルネームで、産地や内包物に関わらず、晶癖に対して名付けられたもの。
鉱物学・宝石学に基づいたものではなく、また明確な定義も定められていませんが、凡そ「複数の結晶からなるごつごつとした複雑な形」を指します。
定義の曖昧さからジャカレー・クォーツスケルタル・クォーツと混同される(もしくは両者をエレスチャルに含む)場合も多く、和名としては本来スケルタルを指す「骸骨水晶」が使われているのを見かけます。
 
【Elestial Quartz】Pakistan
透明度は高いが、内部の気泡やクラックが多く一見白っぽい。
よく探すと水入りが紛れていたりする(右)
  
幾つもの結晶が折り重なり、骸晶を示すものや、他種鉱物や気泡、水など内包物を多く含む場合もあり目に楽しい水晶です。
その複雑さから「水晶の最終形態」「通常より長い時間を掛けて成長を繰り返した」などと語られることがありますが、実際には逆で、通常よりも早い速度で成長した為に出来た形であることがわかっています。
恐らくは珪酸濃度が高い熱水の中で、複数の結晶が一気に成長した為に入り組んだ形になったのではないでしょうか。
少なくともスケルタル同様に骸晶を示すものに関しては、成長が急速であったことは明らかです。(成長に長い時間を掛けた場合、面の部分にも珪酸が行き渡り凹みが生じない)
 
【Elestial Quartz】Pakistan
骸晶を示すエレスチャル。
  
エレスチャルはヒーラーたちによって、非常に優れたパワーストーンとしてブームを巻き起こしました。それまでこの特殊な晶癖を指す名前がなかった為に、パワーストーン業界の外でも「エレスチャル」という名前が流用されています。
 
 
*スーパーセブンとエレスチャル*
現在、市場には二種類の「エレスチャル」があります。
本来エレスチャルと呼ばれていたものは上記の通り。
もう一つは誤称としてのエレスチャルで、これはスーパーセブンにも関連しています。
「スーパーセブン(セイクリッド・セブン)」は7種の鉱物が共生するエレスチャルであり、「ブラジルのエスピリット・サント州の鉱山から産出され、名付け親のヒーラーであるA・メロディ女史が認定したもの」のみを指します。(現在は鉱山が水没した為、新たな産出はないとのこと)
即ち「エレスチャル形状の水晶に、アメシスト、スモーキー・クォーツの部分を含み、ゲーサイト、レピドクロサイト、ルチル、カコクセナイトを内包し、メロディ女史の認定書がついた水晶」が本物のスーパーセブン。ただし同じ鉱山から産出しメロディ女史が認定していれば、必ずしも7種が揃っていなくても良いということです。(ここを徹底していれば面白かったのに)
 
が、これが大ブレイクしてしまった為、当然石を扱う卸業者たちは産地も形状も無関係に、似たような内包物入りの水晶を「スーパーセブン」として売り出しました。しかし認定されていないことを突かれると面倒な上に、原石の段階で7種の鉱物が共生していたかどうかなど知る由もないので、上記の内包物を含む水晶を「スーパーセブン」の代わりに「エレスチャル」として流通させました。他に「複数の内包物の存在を否定せず、且つ売れそうな名前」がなかったからです。
※この辺りは自分の関係する卸業者で実際に起こっていたことで、もしかしたら業界内に別の経緯があったかもしれません。とても興味があります。
  

スーパーセブン又はエレスチャルと誤称されがちなものたち。
 
インドからはゲーサイトやレピドクロサイト、アメシストが共生するエレスチャルが出ていますが、現在流通している「スーパーセブンっぽいエレスチャルの加工品」がこれとイコールかというとそうでもなく。
「ゲーサイト、レピドクロサイト、ルチル、カコクセナイトを内包する水晶かアメシストかスモーキークォーツかなんかそのあたり」が見境なく「エレスチャル」とされてしまい、区別が面倒になったかそもそも知識や興味のない小売業者たちもこれに倣った為、市場に流通するエレスチャルは見た目も価値基準も全く違う二種類が混在することになりました。
  
赤っぽければストロベリー・クォーツに、
黒っぽければスーパーセブン又はエレスチャルにと呼称が変わる
可哀想なものたち
 
この経緯から「エレスチャルとは特定の内包物入りの水晶を指す名前である」という認識が誤りであることが分かりますし、エレスチャルを求める際にはこれを頭に入れておかないと、違うものを入手してしまうことになるわけです。
ちなみに「スーパーセブン」という名前も、「メロディ女史の認める本物ではないが似てるので便宜上スーパーセブンと呼びます」という判断を下した業者によって定着してしまったので、例えば全く同じゲーサイトinクォーツが、扱う業者によってスーパーセブンになったりエレスチャルになったりルチルクォーツになったりします。
 
そもそもエレスチャルを磨いた場合は特有の外観が損なわれてしまうので、ラウンドやタンブルなどに加工されているものが本当に元々エレスチャルだったかは甚だ疑問ですし、本当にそのように加工しているのであれば原石原理主義者(もったいないおばけと読む)の出番だと思っています。

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銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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