ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
スケルタル・アメシスト-骸骨紫水晶
2013/01/26/Saturday
【Skeletal Amethyst】Brazil
鉱物名:クォーツ宝石名:アメシスト
英名:Amethyst
和名:紫水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:ブラジル、インドetc...
処理:-
流通名:スケルタル・アメシスト
エレスチャル・アメシスト(誤称を含む。スーパーセブンと関連)
ウィンドウ・クォーツ(窓の意)
フェンスター・クォーツ(窓の意)
骸骨紫水晶
画像はブラジル産の「エレスチャル・アメシスト」として購入したもの。
しかし「エレスチャル」の最大の特徴が、複数の結晶が集まってできるごつごつとした形であるなら、この結晶は単にスケルタル・クォーツ(骸骨水晶)またはウィンドウ・クォーツ(窓水晶)と呼ぶべきでしょうか。
スケルタル、ウィンドウについてはスケルタル・クォーツの記事で取り上げた通り、結晶の成長速度のずれによって窓のような凹みが出来たもの。
こちらのアメシストは茶色っぽい不純物が内部の層に取り残され、まさに透明骨格標本といった様子。
表面近くはクリアなクォーツで、中心がぼんやりとしたゴーストのようなアメシストになっています。
濃い紫ではなく、ピンクアメシストのような淡い色合いで、透明感があってとても綺麗です。
*エレスチャルとスケルタル*
「スケルタル」「骸晶」とは、鉱物学で、結晶が急激に成長する際、成長速度の速い陵角に対し面の成長が遅れることにより凹みの出来た形のことを指します。
しかし「エレスチャル」という言葉は鉱物学に基づいたものではなく、明確な定義もどうやらない状態。
現在、市場には二種類の「エレスチャル」があります。
ひとつは、スケルタルを含めた(混同されていることもある)ごつごつとした複雑な形の水晶。
もうひとつは、特定の内包物を含む水晶。
後者の「エレスチャル」に含まれる内包物とは、「スーパーセブン」にも共通する6種の内包物を指すことが多く、最も頻繁に見られるのがゲーサイトやレピドクロサイト、ヘマタイトなど。
これについてはゲーサイトインクォーツやレピドクロサイトインクォーツの記事でも触れましたが、なんとなく以下のような流れがあったように思われます。
1.エレスチャル(ごつごつ水晶)のなかに、7種の鉱物が共生する「スーパーセブン(セイクリッド・セブン)」が発見され大ブレイク。
2.実際には7種揃っていないものが多く、「セブン」ではない「スーパーセブン」の扱いに困る(主に業者が)。
3.「セブン」ではなさそうなものを、大きな括りで「エレスチャル」と呼ぶことに。
4.「セブンではないが特定の内包物入りの水晶」と「エレスチャル(ごつごつ水晶)」が混同される。
5.「セブンではないが特定の内包物入りの水晶」が「エレスチャル(ごつごつ水晶)」に取って代わり、「エレスチャル=特定の内包物入りの水晶」との認識が広まる。
6.区別しようにも、磨きやビーズが多いため、もとがごつごつ水晶だったのかどうかわからないものが多い。
※以上の経緯には憶測が含まれますが、「エレスチャル(内包物入り)」を販売するいくつかの業者の考えは実際こんな感じでした。
「エレスチャル」はパワーストーン関係のコマーシャルネームで、鉱物名や宝石名とは扱いが異なるため、詳細は不明です。
表面が磨かれてしまっている場合は、元の形がエレスチャルであったかどうかは分かりません。
しかし少なくとも、「エレスチャル=特定の内包物入りの水晶を指す」という定義が誤りであることは確かなようです。
トラピッチェ・アメシスト
2012/11/08/Thursday
【Trapiche Amethyst】
鉱物名:クォーツ宝石名:トラピッチェ・アメシスト/ゲーサイト イン アメシスト
英名:Trapiche Amethyst/Goethite in Amethyst
和名:紫水晶/針鉄鉱入紫水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:ブラジル、マダガスカルetc...
処理:-
流通名:トラピッチェ・アメシスト
ゲーサイト イン アメシスト
カコクセナイト イン アメシスト(カコクセナイトは誤称?)
スーパーセブン(7種揃っている必要はない?)
セイクリッド・セブン(7種揃っている必要はない?)
エレスチャル(誤称を含む。スーパーセブンと関連)
放射能標識のような模様のアメシストに、さらに中心へ向かって放射状の模様を成すゲーサイト結晶が内包されたトラピッチェ・アメシスト。
「トラピッチェ」はスペイン語で、サトウキビを搾る農機具のこと。
トラピッチェに使われる6本スポークの歯車の形に似ていることから、6方向へ放射状の模様を持つ石には「トラピッチェ」の名がつけられます。
*ゲーサイトとカコクセナイト*
画像に見られる金茶色の針状結晶は、放射状~扇状に結晶したゲーサイトなのですが、これを「カコクセナイト」とする表記がかなり見られます。
カコクセナイトはリン酸塩鉱物の一種で、岩の間などに隠れるように結晶していたりしますが、水晶に内包されることは稀なようです。
おそらく誤解のもとは、『宝石・貴金属大辞典』における「カコクセナイトとは紫色、もしくは茶水晶の地に黄色のゲーサナイト・インクルージョンを含むもの」との記述ではないかと思われます。
ここから何故、茶色いゲーサイトを「カコクセナイト」と誤称するに至ったかはわかりません。
カコクセナイトは独立した鉱物です。
カコクセナイトインクォーツとして流通していた石を鑑別機関(中央宝石研究所)へ持ち込み、「ゲーサイト入りの水晶をカコクセナイトと呼ぶのか?」と問い合わせたところ、それは誤りであるとのこと。「誤解されているが、この内包物(金茶色の放射状の結晶)はゲーサイトであり、ゲーサイトを内包していてもカコクセナイトとは呼ばないので混同しないように」との回答でした。
この回答を信じるなら、少なくとも現在、『宝石・貴金属大辞典』のカコクセナイトに関する記述は誤りということに。
カコクセナイトは金茶色で放射状の結晶を持ち、画像のような金茶色の放射状結晶も、これがカコクセナイトであると言われれば納得してしまうほどに似ています。
しかし私の知る限りでは、この内包物に関しては「ゲーサイトであり、カコクセナイトではない」という鑑別結果ばかりで、カコクセナイトが出たという話は聞きません。
ただ、「ゲーサイト入り水晶」や「茶色いゲーサイト」が「カコクセナイト」ではない、ということだけは確かなようです。
ブルッカイト in クォーツ-板チタン石入水晶
2012/10/16/Tuesday
【Brookite In Quartz】Brazil
鉱物名:クォーツ宝石名:ブルッカイト in クォーツ
英名:Brookite In Quartz
和名:板チタン石入水晶/白金水晶/白金針水晶
モース硬度:7(水晶の硬度)
劈開:不明瞭
産地:ブラジル、パキスタン、イギリス、フランス、アメリカ、オーストラリアetc…
処理:透明剤の充填(一部)
流通名:ブルッカイト(ブロッカイト)in クォーツ
板チタン石入水晶
プラチナ・ルチル・クォーツ/白金針水晶(ブルッカイトを伴う銀色ルチル入り)
プラチナ・クォーツ/白金水晶(ブルッカイトを伴う銀色ルチル入り)
貴金属の名称+ルチル・クォーツのネーミングは大抵、色のイメージから。
ただし「プラチナ・ルチル・クォーツ」の場合は少し違い、「シルバー・ルチル(銀灰色のルチル)」の特に針が太いものや、ブルッカイト(板チタン石)を伴ったものを指します。
ブルッカイトは二酸化チタンの板状結晶で、ルチルとは同質異像の関係。
低温下で水晶に内包されたチタンがブルッカイトとなり、その後温度が上昇すると、ブルッカイトを基盤として針状結晶(ルチル)が成長して櫛のような形になります。
フランス・アルプス産のもののなかには、同じく二酸化チタンのアナテース(鋭錐石)や、長石のアルバイトを含むことも。
「プラチナ・ルチル」のように、ルチレイテッド・クォーツの一種として流通することが多いようですが、プラチナを連想させる白~銀灰色だけでなく、赤や金茶に近い色もあります。
また、水晶に内包されていない単体のブルッカイトでは、暗い赤茶~黒っぽいものが多く見られます。
白っぽい色をしたものでも、透過光では赤色が見えます。
アイス・クリスタル-ヒマラヤ蝕像水晶
2012/10/15/Monday
【Ice Crystal】
Manikaran, Parvati Valley, Kulu, Himachal Pradesh, India
鉱物名:クォーツManikaran, Parvati Valley, Kulu, Himachal Pradesh, India
宝石名:クォーツ
英名:Ice Crystal
和名:ヒマラヤ蝕像水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:インド
処理:-
流通名:アイス・クリスタル
ヒマラヤ・アイス・クリスタル
ヒマラヤ蝕像水晶
エッチド・クォーツ(蝕像水晶全般を指す)
ニルヴァーナ・クォーツ/ニルヴァーナ・ストーン/ニルヴァーナ・クリスタル
ヒマラヤの麓に位置するクル地区マニカラン産のアイス・クリスタル。
うっすらとピンク色をしたものは、表面に酸化鉄が付着しているためです。
インド北部、ヒマーチャル・プラデーシュ州のクル渓谷は、標高約6000mの氷河地域。
温暖化の影響によってこの氷河が溶けた場所で、1995年に発見されたのが「アイス・クリスタル」なのだとか。
凸凹とした奇妙なエッチング(蝕像)は、水晶が結晶・成長する際に他種鉱物に成長を阻害されたことを表しています。
水晶がフッ化水素に溶かされたことを示すトライゴーニック(逆三角形の蝕像)も見られます。
※凸凹のエッチングが氷によるものでは?という話もありますが、石英が結晶・成長するほどの高温下で氷が溶けずにいられるものなのでしょうか…?
アイス・クリスタルはクラスター(群晶)になることなく、ひとつひとつの結晶がばらばらの状態で産出します。なかにはC面(底面)を持つ結晶もあり、これは天然水晶には非常に珍しい特徴となります。
また、結晶同士を軽く打ち合わせると高く澄んだ音が響くため、シンギング・クリスタルのひとつとしても知られています。
こちらは是非お試しあれ。
サルファー in クォーツ-硫黄水晶
2012/10/07/Sunday
【Sulfur in Quartz】Irece, Bahia, Brazil
鉱物名:クォーツ
宝石名:サルファー in クォーツ/レモン・クォーツ
英名:Sulfur in Quartz/Lemon Quartz
和名:硫黄水晶/檸檬水晶
モース硬度:7(水晶の硬度)
劈開:なし
産地:ブラジル、ロシア
処理:-(硫黄内包によるもの)
スモーキー・クォーツ照射+加熱(透明なもの)
ロック・クリスタル照射+加熱(透明なもの)
流通名:サルファー in クォーツ(硫黄内包のみ)
硫黄水晶(硫黄内包のみ)
レモン・クォーツ(スモーキークォーツ加熱を含む)
檸檬水晶(スモーキークォーツ加熱を含む)
レモン・シトリン(スモーキークォーツ加熱)
スター・レモン・クォーツ(レモン色ミルキークォーツ。アステリズムを示す)
画像はブラジル・バイーア州イレセー産のサルファーinクォーツ。
サルファーinクォーツは、硫黄を内包することにより半透明~不透明のレモン色になった水晶のこと。「レモン・クォーツ」「硫黄水晶」とも呼びます。
割れたり傷付いたりすると、微かに硫黄の匂いがするそうです。
黄色い水晶といえばシトリンですが、シトリンの発色は含有された鉄によるもの。
一方サルファーinクォーツのレモン色は、透明な水晶に内包された硫黄自体の色が透けて見えているものなので、シトリンとは一応区別されているようです。
因みに「レモン・シトリン」という宝石もありますが、こちらは以下に挙げる、透明なレモン色の水晶のことを指しています。
【Burnt Smoky Quartz】Brazil
*透明なレモン・クォーツ*
「レモン・クォーツ」は本来、硫黄によるレモン色が特徴の水晶のことを指していましたが、現在市場に流通している「レモン・クォーツ」(特に装飾品)のほとんどは、透明なレモン色をした水晶です。
硫黄が発色原因のレモン・クォーツであれば、黄色く見えるほど硫黄が内包された時点で透明度はなくなってしまい、透き通ったレモン色にはなりません。
「レモン・シトリン」とも呼ばれる透き通ったレモン色の水晶の正体は、スモーキー・クォーツや透明水晶の色を照射と加熱によって調整した処理石、もしくはガラスの模造品。
シトリンの記事でも触れましたが、市場に流通する大半のスモーキー・クォーツには色を濃く整えるための照射処理が施されていますし、アルミニウムイオンを含む水晶を照射することで作り出すことも出来ます。
スモーキー・クォーツを加熱すると色が薄くなり、鉄分の含有具合によって様々な色調のシトリンになります。
透明なレモン・クォーツもこの一種であり、発色原因は硫黄ではなく鉄。
レモン色の水晶なので「レモン・クォーツ」という名前自体はしっくりくるのですが、サルファーinクォーツとの混同のために、透明のレモン・クォーツが硫黄入り水晶として扱われていることが少なくありません。
そのためか、硫黄入り水晶は「レモン・クォーツ」の名称を避け、わかりやすく「サルファーinクォーツ」と称されることが多くなっている様子。
画像のスフィアは、ブラジル産スモーキー・クォーツへの加熱によって作られたレモン・クォーツ。一部にスモーキー・クォーツのファントムが見られます。
*スター・レモン・クォーツ*
上記二つとはまた別に、アステリズム(スター効果)を示す「レモン・クォーツ」があります。
こちらはレモン色をしたマダガスカル産のミルキー・クォーツ(またはジラソル・クォーツ)で、外見は乳白色の半透明。
「イエロー・ミルキー・クォーツ」「イエロー・ジラソル・クォーツ」とも呼ばれます。
ミルキー・クォーツのアステリズムは、特有のミルキーカラーの発色原因である微細な結晶によるもの。
内包物が酸化チタンの場合は、これが針状結晶(つまりルチル)となって平行に並んでいるとシャトヤンシー(キャッツアイ効果)が、更に2~3方向に交差しているとアステリズム(スター効果)が現れます。
内包物がシリマナイトの場合も、結晶は繊維状のため、ルチルと似た効果を示すようです。
内包物がコロイド状のアルミナ(酸化アルミニウム)の場合は、アステリズムの他にオパレッセンス(オパールのような乳白色の散乱光)やプレイ・オブ・カラー(遊色効果)を示します。ミルキー・クォーツのうち、「ジラソル・クォーツ」や「メタモルフォシス」と呼ばれるものにこの特徴が見られます。
因みにこれらのスターはダイアステリズム(透過光によるスター効果)なので、光を当てるなら表からではなく裏側から。
ペンライトや晴れた日の太陽などの強い光を当てると、4~6条のスターが見られます。
是非お試しあれ。
プロフィール
HN:
Yati
HP:
性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
宝飾業界のはじっこのほうで
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