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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
アルマンディン・ガーネット-鉄礬柘榴石
【Almandine Garnet】Pakistan
 
鉱物名:ガーネット
宝石名:アルマンディン・ガーネット
英名:Almandine Garnet
和名:鉄礬柘榴石
モース硬度:7-7.5
劈開:なし(裂開:一方向に明瞭)
産地:インド、カナダ、ブラジル、アフガニスタン、スリランカ、中国、日本etc…

処理:-

流通名:ガーネット
     レッド・ガーネット(アルマンディンまたはパイロープを指す)
     コモン・ガーネット(ありふれた普通のガーネットの意)
     アルマンディン/アルマンダイン/アルマンダイト・ガーネット
     柘榴石
     鉄礬柘榴石
     シリアン・ガーネット(紫がかったもの)
     セイロン・ルビー(スリランカ産。ルビーは誤称)
     オーストラリアン・ルビー(オーストラリア産。ルビーは誤称)
     カーバンクル(主にカボションを指す)
     金剛砂(研磨剤として使用)


ガーネットにも様々な色がありますが、真っ先に思い浮かぶのは深い赤色のアルマンディン。
アルマンディンはガーネットグループに属する石のうち最も産出量が多く、目に触れる機会も多い身近な宝石のひとつです。
同じ赤色のパイロープとは非常に似ており、色だけでは区別のつかないものもありますが、基本的にはパイロープは血のような赤色、アルマンディンはそれよりもやや紫がかった暗赤色を示します。

ガーネットグループの中でのアルマンディンはパイラルスパイトに分類されます。
パイラルスパイトとは、アルミニウムを含むガーネットであるパイロープ、アルマンディン、スペサルティンの3種類の名前を合わせたもの。これらはアルミニウム・ガーネットと呼ばれることもあります。
アルマンディンは鉄とアルミニウムを含み、鉄が多くなるほど赤黒くなります。
また、鉄の一部がマグネシウムと置換されるとアルマンディンとパイロープの中間のロードライトに、マンガンと置換されるとスペサルティンになります。
それぞれ純粋な結晶は非常に稀少で、大抵は互いに混じり合った固溶体として産出するため、外見での区別が難しいものは「ガーネット」として一括りに扱われています。
ペグマタイトの中に産出するアルマンディンは不純物の混入が少ないために透明度が高く宝飾向きですが、雲母の中に産出するものには不透明なものが多く、宝石質の原石は採れないようです。


*金剛砂*
彫金では日常的に「金剛砂(こんごうしゃ)」と呼ばれる研磨剤を使います。
すりガラスなどを作成する際のサンドブラスト加工で、表面に吹き付ける砂としても使いますが、それよりもさらに身近なのは、耐水ペーパー、サンドペーパーなどと呼ばれる、いわゆる紙やすり。
紙やすりは金剛砂を膠で紙に敷き詰めたもので、金属や木材などオールマイティーに使えますが、特に木材加工用などの際に使う目の粗い紙やすりからは赤茶色の小さな粒がポロポロと落ちます。あれがアルマンディンです。
紙やすりは、そのままずばり「ガーネットペーパー」とも呼ばれます。

「金剛砂」は、宝飾用にならない非常に小さなアルマンディン、不純物の多いコランダム、エメリー鉱などの鉱物を大きさでふるい分けて使う研磨剤の総称です。
「金剛」はダイヤモンドの和名にもなっており、要は「固い」ということ。さらに金剛砂を産出する奈良と大阪の境の山には金剛山と名がつきました。
金剛砂はホームセンターで袋売りされていたり、紙やすりとしてどこでも手に入れることができますが、それがガーネットであることについてはあまり意識されないものかもしれません。
うんと細かくなってしまうとただの赤茶けた粉末のようですが、荒目の紙やすりからぼろぼろ落ちた砂粒を拡大してよく見てみると、確かにガーネットの面影があります。
研磨剤としてのガーネットの歴史は古いものの、最近では炭化ケイ素などの人造研磨剤が主流になっているため、天然鉱物からなる金剛砂の使用は減少しつつあります。
 
 
*ブルー・カーバンクル*
アーサー・コナン・ドイル著の小説のなかに、「Blue Carbuncle」という宝石が登場します。「青いガーネット」「青い柘榴石」等と訳されますが、より正確に訳すなら「青いカーバンクル」です。
カーバンクルはラテン語で「燃える石炭」の意味。もとはアルマンディンの透明度を高く見せるためにカボションの裏側を刳り抜いて厚みを減らしたカットのことでしたが、転じてカボション型に磨かれた赤い宝石全般を指すようになったとのこと。
そのためカーバンクル=ガーネットとは限らないのですが、カーバンクルの代表的なものがガーネットであったなら、ガーネットを指していても不思議はありません。
しかし当時、ガーネットといえば赤いもの。緑色のガーネットが発見される以前の小説です。現在、青いガーネットは合成で作り出すことはできますが、自然界からは発見されていません。
ドイル氏が何を想定していたのかはわかりませんが、個人的にはホームズの発言「炭素の結晶」から、当初はガーネットではなく青いダイヤモンドになる予定だったのではないか…などと考えてしまいます。

※かつては「青い紅玉」との訳がありましたが、紅玉とはルビーの和名。
ルビーはコランダムの赤いもののみを指し、赤以外ならばサファイアになります。ルビーとサファイアは色で区別されるため「青いルビー」というものは存在しません。
近年ではこの点が見直され、「青いガーネット」「青い柘榴石」の訳が用いられています。
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アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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