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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
ジャカレー・クォーツ-鰐水晶
【Jacare Quartz】Brazil
 
鉱物名:クォーツ
宝石名:ロック・クリスタル
英名:Rock Crystal
和名:水晶
モース硬度:7
劈開:不明瞭
産地:ブラジル

処理:-

流通名:ジャカレー・クォーツ
     アリゲーター・クォーツ
     鰐水晶
     エレスチャル・クォーツ(定義による)

 
ブラジル産のロック・クリスタル。
同一の方向にいくつもの結晶が並ぶ平行連晶で、鰐の背中のようにボコボコとした姿から「ジャカレー(ポルトガル語で鰐)クォーツ」「アリゲーター・クォーツ」と呼ばれるもの。名付けはブラジルの鉱山ですが、世界中から産出し、スモーキー・クォーツやアメシストなどにも見られます。
複雑な結晶の集合体であることからエレスチャルと一纏めに扱われている場合もあり、あまりしっかりと区別はされていない様子。
※エレスチャル:パワーストーン関係のコマーシャルネームで、明確な定義は定められていないが凡そ「複数の結晶からなるごつごつとした複雑な形」を指す。内包物とは無関係。
 
【Jacare Quartz】Brazil
  
幾つもの結晶が同一の軸を共有し、合体したまま成長する為、水や気泡、多種鉱物を内包し更に複雑な見た目になるものも多く、見た目の大変楽しい水晶ですが、結晶の揃う原因ははっきりと解明されていないようです。
レピドクロサイト in シトリン-鱗鉄鉱入黄水晶
【Lepidocrocite in Citrine】Madagascar
  
鉱物名:クォーツ
宝石名:レピドクロサイト in シトリン
英名:Lepidocrocite in Citrine
和名:鱗鉄鉱入黄水晶
モース硬度:7(水晶)
劈開:不明瞭
産地:マダガスカル

処理:?

流通名:エレスチャル・シトリン(誤称を含む。スーパーセブンと関連)
 
 
レピドクロサイト(鱗鉄鉱)が内包されたマダガスカル産シトリンです。
店頭での表記は「エレスチャルシトリン」となっておりましたが、エレスチャルという名前はそもそもスケルタルのように「ごつごつとした形の結晶の水晶」を示すもので、形に価値がある以上、画像のように磨いてしまう理由がありません。恐らくは流通現場で生じた誤称である「特定の内包物を含む水晶」の意で使用されているものと推測されます。正しい意味でのエレスチャル・シトリンはミナス・ジェライス産のものを見かけますが、見た目は全く異なります。
 
 
【Lepidocrocite in Citrine】Madagascar
 
レピドクロサイトは水酸化鉄の一種で、結晶は鱗状~針状で色は赤~黒。これを多量に含む水晶(レピドクロサイトinクォーツ)はその見た目から「ファイア・クォーツ」「ハーレクイン・クォーツ」とも呼ばれますが、上記のような「エレスチャル」と誤称される水晶やアメシストの一種でもあります。ただ、シトリンに含まれるものを見たのはこれが初めてでしたし、あまり流通してもいないようです。
 
 
【Lepidocrocite in Citrine】Madagascar
   
*加熱シトリン?*
シトリンはポピュラーな宝石ですが、実のところ天然のシトリンというものは非常に希少で、非加熱、天然色として保証されるもの以外ほとんどの流通品が、アメシストを加熱し作られる「バーント・アメシスト」、スモーキー・クォーツを照射・加熱し作られる「バーント・スモーキークォーツ」、もしくは科学組織と結晶構造を人工的に再現した合成シトリンとなっています。
アメシストからシトリンが作られる仕組みは、発色要因である鉄イオンのFe4+とFe2+が、加熱によりFe3+に変化することで紫から黄色の発色へ変わる為。
レピドクロサイトを内包するアメシストはそれほど珍しくなく、環境によってはそのシトリン版が産出されたとしても不思議はないのですが、流通品の中に標本が見つからず、かつそれほど希少なものであれば今回購入したもののように標本的価値のないポリッシュとしてのみ流通するのが不自然であることから、レピドクロサイトinアメシストから作られた加熱シトリンなのではないか?という疑惑が拭えません。
続報求む。
ブルーフローライト on クォーツ
【Blue Fluorite on Drusy Quartz】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
 
鉱物名:フローライト/クォーツ
宝石名:ブルー・フローライト/クォーツ
英名:Blue Fluorite on Drusy Quartz
和名:蛍石/水晶
モース硬度:4(フローライト)/7(水晶)
劈開:四方向に完全(フローライト)/なし(水晶)
産地:内モンゴル

処理:放射線照射の可能性あり?

流通名:ブルーフローライト on クォーツ
 
 
内モンゴル自治区赤峰市ハンガン鉱山産。
マニアにはたまらないヘンテコ水晶がわんさと出た産地ですが、こちらもかなりユニーク。
小さく真っ白な水晶がびっしりと埋め尽くす土台に、濃い藍色のフローライトの大小様々な結晶がこれでもかと生えています。
かなり濃い色なので一見不気味なばかりですが、光に透かすとなんとも美しいブルーが見えます。
  
【Blue Fluorite on Drusy Quartz】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
透かしてからが本番。
 
白い水晶に覆われた土台は一部が欠けており、実は透明度のある淡いスモーキー・クォーツの結晶であることが分かります。
風の噂では、本来はグリーン・フローライトだったものが放射線照射処理を施され、フローライトはブルーに、中のロック・クリスタルはスモーキー・クォーツに変化したのだとか。
確かによく似た標本で、母岩の内側に食い込んだ部分のフローライトだけが緑色をしている写真を見たことがありますが、真偽の程は定かではありません。
(中国なら普通にやりそう)
  
【Blue Fluorite on Drusy Quartz】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
土台はスモーキー・クォーツの結晶。六角形の断面がくっきり。
 
大きなスモーキー・クォーツの結晶の表面から育った白い水晶が集晶となって表面を隙間なく覆い、更にフローライトが共生する三層構造。とても分かりやすい。
もこもことしたフローライトの結晶は、小さなものではやや表面の荒れた八面体、大きなものだともうなんだかわからないごわごわした球状の塊になっています。
ちなみに白熱灯下やキャンドルの灯りの下では紫色にカラーチェンジ。
結構贅沢な標本です。
  【Blue Fluorite on Drusy Quartz】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
同産地でカラーチェンジフローライトは割と出たらしい。

セレナイト・ローズ-透石膏
【Selenite Rose】Seeben, Halle, Saxony-Anhalt, Germany

鉱物名:セレナイト(ジプサム)
宝石名:セレナイト
英名:Selenite/Gepsum
和名:透石膏
モース硬度:2
劈開:一方向に完全
産地:ドイツ

処理:-

流通名:セレナイト・ローズ
    セレナイト・ボール
    ジプサム・ローゼン
 
 
ころりと丸く愛らしい形、ざくざくと重なり合う板状結晶。
砂漠の薔薇によく似たこの石は、同じく透石膏の結晶が球状に集まったもの。
硬度は非常に低く、水にも溶けやすい為、保管にはやや注意が必要です。
   
【Selenite Rose】Seeben, Halle, Saxony-Anhalt, Germany
紫外線ライト(375nm)による蛍光。
  
ブラックライトで蛍光します。色は青味のあるレモンイエローとでも言えばいいのか…
鱗のような結晶がぼんやりと浮かび上がるように光るさまが幻想的。


ピンクヘデンバーガイト in クォーツ/アイアンローズ
【Pink Hedenbergite in Quartz with Hematite】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
 
鉱物名:クォーツ/ヘマタイト
宝石名:-
英名:Pink Hedenbergite in Quartz with Hematite
和名:灰鉄輝石内包水晶/赤鉄鉱
モース硬度:7(水晶)/5.5(ヘマタイト)
劈開:不明瞭(水晶)/なし(ヘマタイト)
産地:内モンゴル

処理:ー
 
流通名:ピンクヘデンバーガイト in クォーツ/アイアンローズ(ヘマタイト・ローズ)
    

内モンゴル自治区赤峰市ハンガン鉱山産の水晶。
この鉱山はかなり面白い形状の鉱物が産出されたのですが、今は採掘されていないとの話。ヘデンバーガイト入り水晶はパワーストーン方面から広まり、一部で大人気だったようです。
 
  
【Pink Hedenbergite in Quartz with Hematite】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
  
表面の細かな蝕像、小さなブーケのようなヘマタイト、ヘデンバーガイトを内包したミルク色に、内部のアメシストが透けたチェリートップ。
内モンゴルではユニークな水晶が他にも見つかっており、それぞれ非常に面白くて見どころ満載ですが、この標本には流石に一目惚れしました。なんといっても色味が絶妙にかわいい。
でこぼこぎざぎざした表面も、蝕像好きとしてはたまりません。
 
へデンバーガイト入り水晶といえば、やや黄味を帯びた緑色をしたものが有名。
元々は透明度の高い水晶にヘデンバーガイトの微細結晶が無数に含まれることで、とろみのあるミルキーな色合いになっています。
こちらのヘデンバーガイトはほとんど白に近く、さらにトップ部分にアメシストが内包されていることで、ぽっと明かりが灯るような美しい姿に。
ピンクへデンバーガイトと呼ばれますが、ヘデンバーガイト自体がピンク色というわけではないようです。
マンガンが含まれている?という情報もありますが、定かではありません。コロイド状のヘマタイトも赤く発色するので、混同されている可能性もありますね。
 
 
【Pink Hedenbergite in Quartz with Hematite】
Hanggang Mine, Chifeng Prefecture, Inner Mongolia A.R., China
  
こんもりとした花束のような、ウニのようなヘマタイト結晶。
この形状はヘマタイト・ローズと呼ばれます。
たまらなくかわいらしい。
【Trapiche Quartz】Inner Mongolia A.R., China
     
*中身はトラピッチェ?*
ヘデンバーガイトを輪切りにすると、中はトラピッチェ模様になっていることがあるようです。画像でしか見ていませんが、同じ産地のピンク水晶も、切ると中のピンク色をした部分がトラピッチェ模様になっているものがありました。
内モンゴルのトラピッチェ・クォーツ(鉱山不明)として購入したこちらのスライスも、水晶・ヘデンバーガイト共に色味が似ており、もしかしたら同じものなのかもしれません。
切ってみたいけど流石に我慢します。
※ヘデンバーガイトは単体で見るとお茶葉のような渋い濃緑色をしています。


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プロフィール
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アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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