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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
オルミアイト-オルミ石
【Olmiite】N'ChwaningⅡMine, Kalahari manganese fields,
Northern Cape Province, South Africa

鉱物名:オルミアイト
宝石名:-
英名:Olmiite
和名:オルミ石
モース硬度:5-5.5
劈開:-
産地:南アフリカ

処理:-

流通名:オルミアイト


ころりと丸いオルミアイトの結晶球。
小さな菱形の結晶が放射状に成長し、このような球になっています。
カルサイトの上に群晶を作っているものをよく見かけますが、こちらは単体。
オレンジ~赤色の他、酸化の度合いによってクリーム色、茶色などのカラーバリエーションがあります。
光源によって色調が変わる変色効果があり、短波紫外線(UVライト等)で赤色の蛍光が見られるほか、白熱灯下でもやや赤みが強くなります。

かつてはポルダーバールタイトとして扱われていましたが、カルシウム含有量の多いものポルダーバールタイトに対し、マンガン含有量の多いものを新種の鉱物として区別するため、2006年にイタリアの鉱物学者Filippo Olmiの名に因んだ「オルミナイト」として登録されました。
現在まで、南アフリカ北ケープ州N'ChwaningⅡ鉱山でのみ産出されています。
カンテラ・オパール-蛋白石
【Cantera Opal】Mexico
鉱物名:オパール
宝石名:カンテラ・オパール
英名:Cantera Opal
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:メキシコ、オーストラリア、ブラジル

処理:-

流通名:カンテラ・オパール
     メキシカン・オパール


メキシコ産のカンテラ・オパール。
「カンテラ」は現地の言葉で、オパールの母岩である流紋岩を指す名前。
白~茶褐色の不透明でざらりとした肌の流紋岩のなかに、つるりとして透明感のあるオパールの部分があり、それらを一緒に切り出し磨き上げます。
 
【Cantera Opal】Mexico
 
オパール部分は遊色を示すプレシャス・オパール。虹色のファイアを浮かべる赤~オレンジ色のオパールの底に凸凹とした母岩との境目が透けて見える様子は、まるで燃えるような夕焼けの空や、乾燥した土地にぽっかりと開けた深い湖のような風景を想わせます。

母岩とともに切り出すことで天然の風合いを生かしたカンテラ・オパールですが、これにも所謂「偽物」が存在します。
小さく、宝飾用に利用できないようなオパールのかけらを、流紋岩もしくはよく似た岩でできた練り石に埋め込んで、見かけを似せるとのこと。
これは継ぎ目が目立つので、見分けるのはさほど困難ではないようです。
ベスビアナイト-ベスブ石
【Vesvianite】Asbestos, Quebec, Canada

鉱物名:ベスビアナイト
宝石名:アイドクレース(緑)クサンサイト(黄褐色)シプリン(青)
英名:Vesvianite/Idocrase
和名:ベスブ石
モース硬度:6.5
劈開:なし
産地:カナダ、フランス、ブラジル、ケニア、メキシコ、ロシア、スリランカ、スイス

処理:-

流通名:ベスビアナイト
     アイドクレース
     カリフォルナイト(緑色不透明)
     シプリン(青色)
     クサンサイト(黄褐色)
     ヴィリュアイト(暗緑褐色)
     カリフォルニア・ジェード(誤称)
     アメリカン・ジェード(誤称)
     

カナダ・ケベック産ベスビアナイト群晶。
緑茶色~赤紫色のバイカラーの結晶です。
ベスビアナイトの名前は、最初に完全な結晶が発見されたイタリアのベスビオス火山から。
宝石名である「Idocrase(アイドクレース)」の由来は、結晶の形や色がジルコンやガーネットなど他の宝石と似て紛らわしいことから、ギリシア語の「Eidos(見かけ)」と「Krasis(混合する)」を合わせたものですが、アイドクレースと言った場合はベスビアナイトのなかでも特に宝石質の緑色のものを指す場合が多いです。
同じベスビアナイトでも、産地や色によって様々なバリエーションと愛称があります。
ノルウェーやアメリカ・ニュージャージーで産出する、銅の含有により青みがかったものは「シプリン」。
ニューヨーク産の黄褐色のものは、ギリシア語の「Xanthos(黄色)」に因んで「クサンサイト」。
ロシアのヴィリュイ川流域で産出する、硼素とセリウムを含有する暗緑褐色のものは、川の名前に因んで「ヴィリュアイト(ウィルアイト)」。


【Vesvianite】Asbestos, Quebec, Canada

ケベックのアスベスト村にあるJeffrey鉱山では、3価マンガンを豊富に含んだ赤いベスビアナイトや、3価クロムを多く含んだエメラルドグリーンのベスビアナイトが産出しています。


【Vesvianite】California,USA

*カリフォルニア・ジェード?*
アメリカ・カリフォルニアで産出する、翡翠に似た半透明~不透明のベスビアナイト。
塊状で産出し、白い斑や黒い斑点が見られます。
同じ産地からネフライトやグロッシュラーなどとともに産出するため、非常に紛らわしく、混同されることもあるようです。
翡翠の類似石の例に漏れず「ジェード」のフォールスネームがついていますが、もちろん見た目が似ているだけで、翡翠とは異なる石です。
「カリフォルナイト」とも呼ばれます。
ピンク・グロッシュラー-灰礬柘榴石

【Pink Grossular Garnet】Mexico

鉱物名:グロッシュラー・ガーネット
宝石名:ピンク・グロッシュラー・ガーネット
英名:Pink Grossular Garnet
和名:灰礬柘榴石
モース硬度:7-7.5
劈開:なし(裂開:一方向に明瞭)
産地:メキシコ、スリランカ

処理:-

流通名:ピンク・グロッシュラー
     ラズベリー・グロッシュラー
     ラズベリー・ガーネット
     ロゾライト(メキシコ産のみ)


メキシコ産のピンク色のグロッシュラー・ガーネット。
スペイン語で薔薇色を指す「Roso」からとって「ロゾライト(薔薇色の石)」、または「ラズベリー・ガーネット」「ラズベリー・グロッシュラー」などと呼ばれます。
ピンク色をしているのは表面近くの層で、内部はメラナイト(黒色のアンドラダイト・ガーネット)。
写真の石も、ピンクのグロッシュラー・ガーネットの内部にメラナイトの黒が透けて見えています。

グロッシュラーは、ガーネットに分類される鉱物の一種。
最初に発見されたグロッシュラーが西洋スグリのようなグリーンだったため、西洋スグリを意味する「Grossularia」が語源となっています。
ガーネットグループの中では、グロッシュラーはウグランダイトに分類されます。
ウグランダイトとは、カルシウムを含むガーネットであるウバロバイト、グロッシュラー、アンドラダイトの3種類の名前を合わせたもの。これらはカルシウム・ガーネットと呼ばれることもあります。

純粋なグロッシュラーガーネットは無色透明ですが、含有物によるグリーンやイエロー系統のカラーが一般的。
ピンク・グロッシュラーの色は、カルシウムの一部がマンガンに置き換わることで、スペサルティンのように赤みを帯びた発色になっているためです。
ガーネットグループの鉱物は成分の差によって分類されていますが、それぞれが置換しあうことが多いために純粋な結晶はほとんどありません。
大抵は互いに混じり合った固溶体として産出され、様々なバリエーションを見ることが出来ます。
ペリドット-橄欖石

【Peridot】Pakistan

鉱物名:オリビン
宝石名:ペリドット
英名:Peridot/Olivine
和名:橄欖石
モース硬度:6.5-7
劈開:弱ないし不完全
産地:アメリカ、中国、北朝鮮、ミャンマー、パキスタン、メキシコ、オーストラリア

処理:-

流通名:ペリドット
     クリソライト(黄色味の強いもの)
     イブニング・エメラルド(誤称)


宝石名「ペリドット」は通常、オリビングループの鉱物であるフォルステライトとファイアライトの固溶体のことを指します。
オリーブの葉の色に似ていることから、かつては鉱物名・宝石名ともに「オリビン」と呼ばれていましたが、現在では「Faridat(アラビア語で宝石の意)」を語源とする「ペリドット」が宝石名として一般的になり、「オリビン」はその鉱物名・岩石名として使い分けられています。

オリビンは厳密には独立種ではなくグループ名で、フォルステライト(苦土橄欖石/マグネシウム橄欖石/Mg2SiO4)、ファイアライト(鉄橄欖石/Fe2SiO4)、テフロアイト(マンガン橄欖石/Mn2SiO4)、モンティセライト(モンチセリ橄欖石/CaMgSiO4)の4種を指します。
一般的なペリドットはフォルステライトとファイアライトの割合が8:2程度のもの。 ファイアライトの割合が少なくなるとフォルステライト本来の色である無色に近くなり、ペリドットとは区別されます。
ペリドット特有の鮮やかな緑色は、含有される15%以下の鉄と微量のニッケルやクロミウムによるものです。鉄分が多ければ濃い緑、マグネシウムが多ければ黄色が強くなります。
黄色味が強く出たペリドットは、ギリシア語の「khrusos(金色の意)」に因んで「クリソライト」と呼ばれる場合もあります。

ペリドットは紀元前、紅海のザバルガート島(英名セント・ジョン島、当時はトパゾス島)で発見され、当時は「トパジオン(トパーズ)」と呼ばれていました。
大プリニウスの『博物誌』には、トパーズを鉄の鑢で削ることが出来るという記載がありますが、モース硬度8のトパーズを鉄で傷つけることは出来ません。また、ザバルガート島ではトパーズが産出されないことから、『博物誌』や聖書等の古い文献での「トパーズ」は、実際にはペリドットを指していると考えられます。

ザバルガート島はペリドットの主産地でしたが、現在では絶産。
ハワイの土産物としてハワイ産のペリドットが有名ですが、こちらも絶産しており、アメリカ・アリゾナ産のペリドットをハワイ産として販売しているようです。
現在ビーズやルースで流通しているペリドットの主な産地は中国と北朝鮮。北朝鮮との取引が可能な時期は特に、艶と発色の素晴らしい安価なペリドットが大量に輸入されます。
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プロフィール
HN:
Yati
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性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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