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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
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クラム・カルサイト-方解石化した二枚貝
【Pelecypod Replaced by Calcite】Okeechobee County, Florida, U.S.A

鉱物名:カルサイト
宝石名:カルサイト
英名:Pelecypod Replaced by Calcite
和名:方解石
モース硬度:3
劈開:三方向に完全
産地:アメリカ

処理:-

流通名:二枚貝カルサイト
    クラム・カルサイト
 
 
白い貝殻の中から生えた、透明な蜂蜜色の犬牙状カルサイト結晶。
第三紀鮮新世~第四紀更新世の頃(約300~170万年前)のハマグリの祖先「Mercenaria permagna」が化石となる際、貝殻の成分である炭酸カルシウムが地下水に溶かされて貝殻の中に溜まり、その後水分が蒸発することでカルサイトが結晶したものなのだとか。
カルサイトが共生した貝化石は日本をはじめ世界各地に見られるようですが、宝石質のカルサイトが産出するのは今のところフロリダのオキーチョビー郡のみで、こちらは既に閉山してしまった為、今後は希少なものになってしまうかもしれません。


【Pelecypod Replaced by Calcite】Okeechobee County, Florida, U.S.A
紫外線ライト(375nm)による蛍光。

この標本を購入したのは2013年、偶然見つけて一目惚れからの購入でしたが、今年のミネラルショー関係で話題に上るまで、蛍光鉱物としても人気の石であったことは露知らず。
ムーンストーンのシラーのように、内側から浮かび上がる青白い光が神秘的です。

ゲーサイト・ジオード-針鉄鉱
【Goethite Geode】Morocco
 
鉱物名:ゲーサイト
宝石名:ゲーサイト
英名:Goethite
和名:針鉄鉱
モース硬度:5.5
劈開:完全
産地:モロッコ、メキシコ、USA、スペインetc...

処理:-

流通名:ゲーサイト


ゲーサイトは黄鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱などが酸化することで生じる水酸化鉱物の一種で、針状に結晶したものです。
色は赤・茶・黒色で、宝飾品としては赤いゲーサイトを内包した水晶が特に人気。
同じく水酸化鉄で結晶が鱗状~針状のレピドクロサイト(鱗鉄鉱)とは、組成が同じで結晶形のみ異なる同質異像の関係にあります。
 
 
【Goethite in Quartz】India
 
*ストロベリー・クォーツ*
メキシコ産・カザフスタン産の「ストロベリー・クォーツ」は、赤いゲーサイトを多量に内包し苺色に見える水晶のこと。他の産地でも赤いゲーサイト入り水晶は産出されますが、水晶自体が苺に見えるほどに密度が高くないため、ストロベリー・クォーツと呼べるかどうかは微妙です。このストロベリー・クォーツの異様な人気を受けて、業界では「取り敢えず赤い内包物が入っている水晶」や「黒でも取り敢えずゲーサイトが入っている水晶」までストロベリーと言い出す残念なことになっています。
 
 
 
【Trapiche Amethyst】

*ゲーサイトとカコクセナイト*
画像に見られる金茶色の針状結晶は、放射状~扇状に結晶したゲーサイトなのですが、これを「カコクセナイト」とする表記がかなり見られます。
カコクセナイトはリン酸塩鉱物の一種で、岩の間などに隠れるように結晶していたりしますが、水晶に内包されることは稀なようです。
おそらく誤解のもとは、『宝石・貴金属大辞典』における「カコクセナイトとは紫色、もしくは茶水晶の地に黄色のゲーサナイト・インクルージョンを含むもの」との記述ではないかと思われます。
ここから何故、茶色いゲーサイトを「カコクセナイト」と誤称するに至ったかはわかりません。
 
カコクセナイトは独立した鉱物です。
カコクセナイトインクォーツとして流通していた石を鑑別機関(中央宝石研究所)へ持ち込み、「ゲーサイト入りの水晶をカコクセナイトと呼ぶのか?」と問い合わせたところ、それは誤りであるとのこと。「誤解されているが、この内包物(金茶色の放射状の結晶)はゲーサイトであり、ゲーサイトを内包していてもカコクセナイトとは呼ばないので混同しないように」との回答でした。
この回答を信じるなら、少なくとも現在、『宝石・貴金属大辞典』のカコクセナイトに関する記述は誤りということに。
 
カコクセナイトは金茶色で放射状の結晶を持ち、画像のような金茶色の放射状結晶も、これがカコクセナイトであると言われれば納得してしまうほどに似ています。
しかし私の知る限りでは、この内包物に関しては「ゲーサイトであり、カコクセナイトではない」という鑑別結果ばかりで、カコクセナイトが出たという話は聞きません。
ただ、「ゲーサイト入り水晶」や「茶色いゲーサイト」が「カコクセナイト」ではない、ということだけは確かなようです。
レインボー・アンドラダイト・ガーネット

【Rainbow Andradite Garnet】日本 奈良県 吉野郡 天川村

鉱物名:アンドラダイト・ガーネット
宝石名:レインボー・アンドラダイト・ガーネット
英名:Rainbow Andradite Garnet
和名:灰鉄柘榴石
モース硬度:6.5-7
劈開:なし
産地:日本、メキシコ、アメリカ

処理:-

流通名:レインボー・ガーネット
     スーパーレインボー・ガーネット

 
虹色に輝くアンドラダイトが最初に発見されたのは、アメリカのネバダ。
次にメキシコのソノラからも産出していますが、これらは純粋なアンドラダイトではなくグランダイト(グロッシュラーとの固容体)で、光の散乱によって黒っぽいアンドラダイトに虹色が表れるというものでした。
 
その後、日本の天川村周辺で発見された虹色のガーネットはほぼ純粋なアンドラダイトで、透明度の高い宝石質の結晶が産出されています。
このメタリックな虹色は、アンドラダイトの屈折率の高さと、熱水による融食から成る薄膜構造が重なった結果、複雑な光の干渉を起こすことで生まれるものだとか。
表面だけに見られる彩ではなく、カットしても内側から虹色が浮かび上がります。
この虹を効果的に魅せられるチェッカーボードカットが施された宝飾用ルースも出回っていますが、風化の影響で通常のアンドラダイトよりもやや脆くなっている為、デリケートな宝石として留意しておく必要がありそうです。
ロジャリー産強蛍光フローライト-蛍石
【Green Fluorite】Rogerley Mine, Durham, England
 
鉱物名:フローライト
宝石名:グリーン・フローライト
英名:Green Fluorite
和名:蛍石
モース硬度:4
劈開:四方向に完全
産地:イングランド

処理:-

流通名:フローライト/フルオーライト


透き通るエメラルドグリーンの結晶を、表面から染め上げる鮮やかな青。
イギリス・ダラムのロジャリー鉱山から産出する強蛍光のフローライトは、
ブラックライトを当てずとも、太陽の紫外線ではっきりと蛍光を確認できます。
 
 
【Green Fluorite】Rogerley Mine, Durham, England
結晶の表面から内側へかけて、青~緑のグラデーションが出来ます。 
 
フローライトの名前の由来は、ラテン語の「fluere」。
これは製鉄の際、鉄鉱石を溶かしやすくするためにフローライトを用いたことから「鉄を流れる液体に変える」という意味でつけられた名前です。
また、日本名の蛍石は、フローライトを火で加熱すると発光する性質からきています。蛍光するから、というわけではないようです。
紫外線で蛍光する性質はフローライトで初めて発見されたため、フローレッセンス(蛍光現象)という言葉の元にもなっています。

【Green Fluorite】Rogerley Mine, Durham, England
紫外線ライト(375nm)による蛍光。
メニライト-珪乳石
【Menilite】Spain
 
鉱物名:メニライト
宝石名:メニライト
英名:Menilite
和名:珪乳石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:フランス、スペイン、カナダ、モロッコ、日本

処理:-

流通名:メニライト
     リバー蛋白石/リバー・オパール
     フェアリー・オパール
     菩薩石
     仏石
     こぶり石
     津軽小僧(火成岩起源?)


石膏のようなすべすべの質感、楕円形で構成された白い石。
珪藻土中に産出する不純物の多いオパールの変種で、産地によって灰色やうっすら赤味を帯びた色味のものがありますが、こちらのスペイン産は比較的白くて肌理の細かなものになります。
 【Menilite】Spain
 メレンゲかホイップクリームみたい。

この奇妙な形のオパールは、フランス・パリのメニルモンタン地方で産出したことから名付けられました。珪藻の殻などの沈殿物を多く含んでいて、表面は不透明ですが、割ると中は半透明のコモン・オパールなのだそう。
 
【Menilite】Spain
 巻貝の化石の痕が残っています。
 
まるい形がひとつならお餅、ふたつなら雪だるま。
複雑に入り組んでいると、動物や人の形にも見えてくることから「フェアリー・オパール」等の呼び名がついたようです。能登半島の珠洲市で採れるメニライトは「こぶり石」「仏石」として有名で、保存会や愛好会もあり根強いファンがいる様子。
日本産のメニライトとして他に「津軽小僧」が紹介されていますが、こちらは火成岩中に産出する為、珪藻土から産出するメニライトとは似て非なるもののようです。
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プロフィール
HN:
Yati
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性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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