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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
コッパー in カルサイト
【Copper in Calcite】Houghton Co., Michigan, USA
 
鉱物名:コッパー/カルサイト
宝石名:ー
英名:Copper in Calcite/Calcite with Copper inclusions
和名:自然銅/方解石
モース硬度:3(カルサイト)
劈開:三方向に完全(カルサイト)
産地:アメリカ

処理:ー
 
流通名:コッパー in カルサイト
     カルサイト コッパーインクルージョン



自然銅が内包された犬牙状の透明カルサイト結晶。
ミシガン産の自然銅は標本としてよく見掛けますが、銅は空気に触れると酸化被膜が出来るので、大抵は少しずつ黒ずんでゆくもの。こちらはカルサイトに覆われているので、薬品処理をせずに銅本来の明るいサーモンピンクの発色を見ることが出来ます。
 
【Copper in Calcite】Houghton Co., Michigan, USA
 
肉眼で見ると、カルサイトの成長の過程で結晶表面に共生した自然銅がファントム状に閉じ込められているのがよく分かります。
しかし内包物にしっかりピントを合わせても、如何せん相手は複屈折の教材として頼もしいカルサイト。しっかりダブってしまいます。
肉眼で観測する分にはこのダブリングこそがカルサイトの面白さなのですが、内包物の写真がピシッと撮れないのは少々残念です。

マイカ in クォーツ-雲母内包水晶
  
【Mica in Quartz】
  
鉱物名:クォーツ
宝石名:-
英名:Mica in Quartz
和名:雲母内包水晶
モース硬度:7(水晶)
劈開:不明瞭(水晶)
産地:不明
 
処理:-
 
流通名:マイカ in クォーツ
 
 
ダルメシアン…いや胡麻塩。目立つ黒っぽい結晶と共に透明の結晶も多数含まれているから。
標本ではまだ見たことのないこの胡麻塩水晶、ややミルキーなボディカラーも相俟ってなんとも不思議な見た目です。
ローズクォーツヴァージョンも一緒に並んでおり、この乳白色は恐らくルチルでしょう。
つまり普通のミルキークォーツに、突如として胡麻塩がふりかけられているのです(たぶん)。
  
  
【Mica in Quartz】
  
ひとつひとつの結晶を拡大して見てみると、スタッビィ型(=切り株の形)をしているのがわかります。黒いのは緑がかっており(海苔っぽい)、恐らくバイオタイト(黒雲母)、透明のはモスコバイト(白雲母)ではないかと推定しましたが特に自信はありません。
 【Mica in Quartz】
切子面にはみ出しかけている刻み海苔風バイオタイト。
  
バイオタイトを内包したミルキークォーツは、丸玉ブレスレットでは稀に流通していますが、このようなルースや鉱物標本としてはほとんど見かけません。
また、内包するバイオタイトも綺麗なスタッビィ型というよりほとんど刻み海苔の屑のようであったり、透明のモスコバイトがはっきりと視認できるものがなかったりするので、二種類の結晶の形がしっかりと見える上記のルースは当たりなのかもしれません。
デュモルチェライト in クォーツ
【Dumortierite in Quartz】Vaca Morta quarry Mine, Brumado distrito, Bahia, Brazil
 
鉱物名:クォーツ
宝石名:デュモルチェライト in クォーツ
英名:Dumortierite in Quartz
和名:デュモルチ石内包水晶/青水晶
モース硬度:7(デュモルチェライト)/7(水晶)
劈開:一方向に良好(デュモルチェライト)/不明瞭(水晶)
産地:ブラジル、スペイン、インド、アフガニスタン、マダガスカル、アメリカetc...

処理:ー
 
流通名:デュモルチェライト in クォーツ
     デザート・ラピス(誤称。「砂漠のラピス・ラズリ」の意?)



透明水晶にデュモルチェライトが内包されたもの。画像はブラジル産です。
赤紫、茶、緑等カラーバリエーションがあるようですが、ショーなどでも見掛けるものはほとんど青色のみです。
私が最初に出逢ったデュモルチェライト入りは、インドやアフガニスタン産の、クォーツの中にみっしりと結晶が詰まってほぼ不透明な青色をしたもので、タンブルやビーズ等に加工されることも多い「青水晶」の一種でした。ラピス・ラズリと似ている為に、デザート・ラピスとも呼ばれるとか。
 
しかし最近はブラジル・バイア州産の、透明度の高い水晶の中に繊細な針状結晶が見られる美しい標本が話題となり、こちらは「青水晶」というよりは、ルチレイテッド・クォーツのように、内包された結晶の形が重要視されています。
【Dumortierite in Quartz】Vaca Morta quarry Mine, Brumado distrito, Bahia, Brazil
結晶の形はウニのように放射状のもの、芝生のように一面に生え揃ったもの、細い毛の塊のようなもの、ファントムになっているものなど様々ですが、流通しているものを見ると、やはりどうも青色一択の様子。
画像のポイントもかなり小さく、欠けもあり標本としての価値はありませんが、高騰中のため結構な出費となりました。
落ち着いた頃に紫色なんて出たりしないだろうかと期待。
ゲーサイト(マーカサイト仮晶)
【Goethite after Marcasite】White Desert, Farafra Oasis, Egypt
 
鉱物名:ゲーサイト(またはリモナイト)
宝石名:ゲーサイト
英名:Goethite after Marcasite
和名:針鉄鉱(または褐鉄鉱)白鉄鉱仮晶
モース硬度:5.5
劈開:完全
産地:エジプト

処理:-

流通名:エジプトの星
    Z(ゼット)ストーン
 
 
ゲーサイトは黄鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱などが酸化することで生じる水酸化鉱物の一種で、針状に結晶したものです。
ジュエリーとして扱われる宝石のなかでは、ゲーサイトを内包物として含んだ水晶「ゲーサイトインクォーツ」などが有名。
単体の標本では、針状結晶が放射状に集まって花のようになっていたり、ぎっしり詰まってモコモコの塊を形成していたりします。
 
画像のような星形は、マーカサイトの仮晶。
産地であるエジプトの白砂漠がかつて海だった頃、母岩などに阻害されずに全方向へ成長したマーカサイトの結晶が、長い年月を経てゲーサイトへと変化したものだそう。
純粋なゲーサイトなのか、ゲーサイトを含むリモナイトなのかは、素人目には判断が難しいですが…
同じく「エジプトの星」と呼ばれるものでは、マーカサイトやパイライトからヘマタイトへ変化したものもあるようです。
見渡す限り真っ白な砂漠の中に、不思議な形の岩や貝の化石などに混じってこんなユニークな黒い結晶がぽつりぽつり落ちていたら…と思うと、なんだかファンタジー。
クラム・カルサイト-方解石化した二枚貝
【Pelecypod Replaced by Calcite】Okeechobee County, Florida, U.S.A

鉱物名:カルサイト
宝石名:カルサイト
英名:Pelecypod Replaced by Calcite
和名:方解石
モース硬度:3
劈開:三方向に完全
産地:アメリカ

処理:-

流通名:二枚貝カルサイト
    クラム・カルサイト
 
 
白い貝殻の中から生えた、透明な蜂蜜色の犬牙状カルサイト結晶。
第三紀鮮新世~第四紀更新世の頃(約300~170万年前)のハマグリの祖先「Mercenaria permagna」が化石となる際、貝殻の成分である炭酸カルシウムが地下水に溶かされて貝殻の中に溜まり、その後水分が蒸発することでカルサイトが結晶したものなのだとか。
カルサイトが共生した貝化石は日本をはじめ世界各地に見られるようですが、宝石質のカルサイトが産出するのは今のところフロリダのオキーチョビー郡のみで、こちらは既に閉山してしまった為、今後は希少なものになってしまうかもしれません。


【Pelecypod Replaced by Calcite】Okeechobee County, Florida, U.S.A
紫外線ライト(375nm)による蛍光。

この標本を購入したのは2013年、偶然見つけて一目惚れからの購入でしたが、今年のミネラルショー関係で話題に上るまで、蛍光鉱物としても人気の石であったことは露知らず。
ムーンストーンのシラーのように、内側から浮かび上がる青白い光が神秘的です。

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写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
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いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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