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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
オパール・キャッツアイ-蛋白石
オパール・キャッツアイ
Opal Cat's Eye】Tanzania

鉱物名:オパール
宝石名:オパール・キャッツアイ
英名:Opal Cat's Eye
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:タンザニア、ブラジル

処理:-

流通名:オパール・キャッツアイ/キャッツアイ・オパール
     ハニー・オパール・キャッツアイ(黄色)
     ドラゴンアイ/龍目石(主に緑色)



オパールのうち、遊色を示すものをプレシャス・オパール、それ以外をコモン・オパールと呼びます。
画像の石は、タンザニア産のオパール・キャッツアイ。
象牙色のコモン・オパールに絹糸光沢を持つ繊維状組織の層が含まれており、光を受けるとシャトヤンシー(キャッツアイ効果)を示すため、まるでシルクのリボンを巻いたように見えます。
この繊維状組織については「石綿(アスベスト)」と聞いています。この石綿がクリソタイルなのか、クロシドライトなどのアンフィボール系なのかは不明です。
他のキャッツアイ石と同様、カボションやスフィアなど、曲面のあるカットを施すことでくっきりとした「猫の目」を見ることが出来ます。

他に、プレシャス・オパールの遊色が猫目状に浮かぶタイプの「オパール・キャッツアイ」もあるようです。
こちらは現物を所持していないため、良い出会いを期待。



*グリーン・オパールと目のないドラゴン*
キャッツアイ・オパールのなかでも、緑色のものは「ドラゴンアイ」と呼ばれることが多いようです。
ドラゴンアイは、緑色のコモン・オパールに染み込んだセレナイト(透石膏)によりシャトヤンシーを示すもの。
しかしビーズなどで見かける「ドラゴンアイ」には、シャトヤンシーを示さないものがたくさんあります。

そもそも「キャッツアイ(猫目石)」とは文字通り、繊維状組織に反射した細い光の帯が猫の目を思わせる石の総称。
単純に「キャッツアイ」といった場合にはクリソベリル・キャッツアイを指しますが、シャトヤンシーを示す石であればなんでも「○○(宝石名)・キャッツアイ」もしくは「○○(宝石名)・アイ」といった名称で呼ばれます。
クロシドライトが珪化した「タイガーズアイ」や「ホークスアイ」なども、シャトヤンシーを動物の目に例えて呼ばれる名称です。

「ドラゴンアイ」も龍の目に因む名前であるなら、この名前で呼ばれる石は即ちシャトヤンシーを示す石である筈。
たとえひとつのオパール原石から削りだしたものであっても、「目」の見える部分はオパール・キャッツアイであり、「目」の見えない部分はコモン・オパールとなります。
「グリーン・オパールのうち、シャトヤンシーを示すもの」が「ドラゴンアイ」と名付けられたからといって、「ドラゴンアイの原石(グリーン・オパール)」の全ての部分が「ドラゴンアイ」ではありません。
市場ではたまにその区別が為されず、「グリーン・オパール=ドラゴンアイ」とされていることがあります。

また、母岩を含む緑色のコモン・オパール(マトリックス・コモン・オパール)を指して「ドラゴンアイ」と呼んでいる場合もあります。母岩の茶褐色とグリーン・オパールの混ざりあったこの石が、どういった特徴を指して「ドラゴンアイ」と呼ばれたのかは興味深いところ。
シャトヤンシーがなくとも、龍の目のように見える模様があるなど、どこかが「目」に繋がっていれば合点がゆきますが、私の見る限りでは、その「目」がどこにも見当たらないのです。
龍は眠るのが好きな生き物と言いますが、失明させてしまっては可哀想。



*ドラゴンアイと龍眼石*
ところで「龍眼石」というものがあります。
主に揖斐川や丹波地方から産出され、盆栽などに好んで用いられている、石灰岩や凝灰岩、石英などの混在する岩石です。
風雨に晒したり酸で溶かしたりすると、浸食された白い石灰岩や石英の部分が龍の目のように見えるので「龍眼石」と呼ぶのだそうです。
西洋のドラゴンと東洋の龍。
同じ言葉に当て嵌められていても、それぞれ全く違った魅力があるものです。
アゲート・コースター-瑪瑙
アゲート・コースター-瑪瑙
【Agate】Brazil

鉱物名:クォーツ(多結晶質)
宝石名:アゲート
英名:Agate
和名:瑪瑙
モース硬度:7
劈開:なし
産地:ブラジル、ウルグアイ、インド、インドネシア、ギリシア、アメリカ、中国、日本etc…

処理:-

流通名:アゲート・コースター(スライス)
     瑪瑙コースター(スライス)


小さな石英の結晶が集まって出来たカルセドニー(玉髄)のうち、模様を持つものをアゲート(瑪瑙)と呼びます。
岩の割れ目や空洞に入りこんだ地下水に溶け込んでいた火山灰のシリカ(二酸化ケイ素)が固まってゆく過程で、他種鉱物等の不純物を巻き込むことで様々な色や模様が出来ます。

写真は厚さ2~3mmにスライスされたブラジル産アゲートを透過光で撮影したもの。
スライスされたアゲートは「コースター」としてよく売られており、安価で入手出来ます。
石英の結晶を染めることは出来ませんが、微細な結晶の集まりであるアゲートは結晶の隙間に染料を染み込ませることで綺麗に染めることが出来るため、様々な色に染められた加工品があります。特にコースターやタンブルではほとんどが染色品です。
写真のスライスも、そんな染色アゲートのひとつ。
光源の関係で黄色く見えますが、淡い緑色に染められた小さなコースターです。
ジオードからスライスされたものだと、中心が空洞になって水晶の群晶が出来ていたり、空洞にはなっていないものの、成長した結晶が密集し細かな罅が入ったように見える部分があります。
前述のとおり、結晶の中までは染料が入らないので、その部分だけが透明だったり、その罅に沿って染料が残っていたり。
そういったスライスを、たとえば硬い床に落としたとすると、粘り強いアゲートの部分は割れなくても、水晶の部分だけ結晶に沿って割れてしまうかもしれません。
カイアナイト in フックサイト
カイアナイト イン フックサイト
Kyanite in FuchsiteRussia
鉱物名:カイアナイト/フックサイト
宝石名:-
英名:Kyanite in Fuchsite
和名:藍晶石/含クロム白雲母
モース硬度:4-5、6-7.5(カイアナイト)/2-2.5(フックサイト)
劈開:完全(カイアナイト)/底面に完全(フックサイト)
産地:ロシア

処理:-

流通名:カイアナイト(カイヤナイト) in フックサイト


ロシア産のカイアナイト in フックサイト。
ミントグリーンのフックサイト(含クロム白雲母)と赤褐色の何かで出来た縞模様の母岩に、ブルーカイアナイトの柱状結晶が埋まっています。
ガーネットの共生するものもあるようです。

フックサイトとは、クロムの含有により緑色に発色したモスコバイト(白雲母)。
ラメのようにキラキラ光るフックサイトは、クォーツァイトに内包されアヴェンチュリンとなったり、ルビーを内包して独特の模様を持つルビー in フックサイトとなったりと、頻繁に見掛ける石のひとつ。
アメリカ・カリフォルニア州マリポサからはフックサイト、大理石、クォーツなどの混合石が産出することから、フックサイトを指してマリポサイト(Mariposite)と呼ぶ場合もあるようです。

カイアナイトのモース硬度は結晶の方向によって4-5、6-7.5と著しく異なり、この性質から「二硬石(ディスシーン)」とも呼ばれます。
更に劈開も完全のため、宝飾用ルースやビーズなどへの加工が難しい石。
加工されたカイアナイトで、色はとても美しいのにパッキリと割れてしまっている…などということも日常茶飯事
カイアナイトやフックサイトに限らず、劈開性の強い石は硬度に関係なく、ちょっとした衝撃によって割れてしまうことがありますのでご注意を。
ラルビカイト-月長石閃長岩
ラルビカイト-月長石閃長岩
Larvikite

鉱物名:フェルスパー
岩石名:ラルビカイト
英名:Larvikite
和名:月長石閃長岩
モース硬度:6-6.5
劈開:-
産地:中国、ノルウェー、インド、南アフリカetc...

処理:-

流通名:ラルビカイト/ラービカイト/ラーヴィカイト
     ブラック・ラブラドライト(誤称)
     ブラック・フェルスパー
     ブルーパール(石材としての流通名)
     エメラルドパール(石材としての流通名)
     御影石(石材としての流通名)
     花崗岩


真っ黒で、ところどころに青や銀色のシラーが見られるラルビカイト。
名前の由来は、産地であるノルウェー南部のラルビクから。
見た目の特徴が似ていることからラブラドライトと混同されることもありますが、単独の鉱物ではなく、カリ長石や斜長石を主体とした岩石になります。
全体的に見られる斑模様は黒雲母やクォーツによるもの。
花崗岩の一種で産出量も多く、石材としてビルの装飾や墓石などに用いられたものをあちらこちらで目にすることが出来ます。黒御影石のなかでは高級品になるのだとか。
石材としての流通名である「ブルーパール」「エメラルドパール」はシラーのためでしょうか。
シラーの様子はラブラドライトに似ていますが、ペリステライトに近い光沢も見られます。
ハイドロフェーン・オパール-蛋白石
【Hydrophane Opal】Delanta, Amhara, Ethiopia
鉱物名:オパール
宝石名:プレシャス・オパール/ハイドロフェーン・オパール
英名:Precious Opal/Hydrophane Opal
和名:蛋白石
モース硬度:5-6.5
劈開:なし
産地:エチオピア、スーダン

処理:-

流通名:プレシャス・オパール
     エチオピアン・オパール(エチオピア産)
     ウェロ・オパール(エチオピア・ウェロ産)
     スーダン・オパール(スーダン産)
     ハイドロフェーン・オパール
     カメレオン・オパール
     マジック・オパール
     ミステリアス・オパール


オパールのうち、遊色を示すものをプレシャス・オパール、それ以外をコモン・オパールと呼びます。
画像の石はエチオピア・アムハラ州の高原地帯Delantaで産出したプレシャス・オパール。
エチオピア産のプレシャス・オパールは他のプレシャス・オパールに比べ、美しいものが安価で手に入るため、ここ数年で大量に流通しました。

あまり知られていない(らしい)のですが、エチオピア産プレシャス・オパールのほとんどはハイドロフェーンタイプ。
ハイドロフェーンタイプのオパールは通常のオパールとは異なり、吸水性が強く、水に浸すとその水を吸って乳白色から透明に変わります。
透明になると、クリスタル・オパールのように透き通った中に遊色が浮かぶ様が非常に美しく、印象ががらっと変わります。乾燥によって水分量が戻ると、透明度も元に戻ります。
湿度の高い日本では水分が抜けるのに数日かかることもあり、雨の日などは水に浸けなくても透けてゆきます。
この特徴から、カメレオン・オパール、ミステリアス・オパール、マジック・オパールという呼び名が生まれました。
一粒で二度おいしいとは正にこのこと。

しかしこの吸水性が実は曲者。
色水を吸ってしまえばオパールに色素が残りますし、水道水であればカルキを吸着してやはり変色してしまいます。
また、水を吸ってから乾燥する際に罅が入ってしまったり、透明度や遊色が落ちてしまうなど、非常にデリケートな面も。
宝飾・アクセサリー用に加工されるものは、産出する原石のなかでも比較的耐久性のある部分で、ある程度乾燥にも強い筈ですが、それでもやはり注意が必要。
ところが宝飾やビーズの業界のなかには、そんなハイドロフェーンの特徴について知識がない、またはその特徴をマイナス要素と捉え、伏せてしまうディーラーが少なくありません。
そのために、ハイドロフェーン・オパールの特徴や取扱い方についての言及がされないまま「エチオピアやスーダン産の安価なプレシャス・オパール」として流通し、汗や化粧品、カルキなどを吸着して変色してしまうトラブルが発生しているようです。

お手入れは若干面倒に思われがちですが、吸水性が高いこと以外は通常のオパールとそれほど変わりません。
ハイドロフェーン・オパールを身につけたあとは、放置せず、必ずお手入れをすること。
カルキの吸着を避けたい場合は、お手入れに使う水は純水を。
表面の汚れを落として、柔らかい布で水分を拭き取り、極度の乾燥を避けて保管してください。
乾燥のひどい時期には、水を入れたグラスを近くに置くなどして、適度に保湿するとよいです。水に浸けておく必要は特にありません。
エアコンやドライヤーの温風にはご注意を。

デリケートな石ですが、弱点を把握した上でケアを続けていれば、元のままの美しさを保つことが出来ます。
透明度の変化も含めて、お楽しみあれ。
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プロフィール
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Yati
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職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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