ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
ブルー・フローライト-蛍石
2014/10/26/Sunday
【Blue Fluorite】Asturias, Spain
鉱物名:フローライト宝石名:ブルー・フローライト
英名:Blue Fluorite
和名:蛍石
モース硬度:4
劈開:四方向に完全
産地:スペイン
処理:-
流通名:フローライト/フルオーライト
透明度が高く、結晶の形が美しいフローライトの産出で有名な
スペイン・アストゥリアス産のブルー・フローライトの群晶。
なかにはパイライトやバライト、カルサイト等が共生しているものも多く、
上の画像の石には、裏面に真っ白なバライト結晶がついています。
同産地の群晶。
エッジの鋭い小さな結晶が集まっています。
色が薄く、非常にクリアな結晶内部には、内包されたパイライト結晶が黒っぽく透けて見えます。
こちらも同産地の群晶。
角のとれたようなモコモコした結晶の表面には、びっしりと成長線(蝕像?)が残っています。
成長線(?)アップ。ぐにゃぐにゃとした岩棚のようになっています。
カバンサイト on スティルバイト
2014/07/20/Sunday
【Cavansite on Stilbite】India
鉱物名:カバンサイト/スティルバイト
宝石名:-
英名:Cavansite on Stilbite/Cavansite with Stilbite
和名:カバンシ石/束沸石
モース硬度:3-4(カバンサイト)/3.5-4(スティルバイト)
劈開:一方向に完全(カバンサイト)/一方向に完全(スティルバイト)
産地:USA、インド
処理:-
流通名:カバンサイト on スティルバイト
カバンサイト with スティルバイト
インド産のカバンサイト共生スティルバイト。
スティルバイトは、インドでごろごろ産出する沸石の一種。
なかでも青いウニのようなカバンサイトがちょこんと載ったタイプが人気で、わざわざカバンサイト結晶をスティルバイトの上に接着した偽物が出回っているほど。
カバンサイトの根元がスティルバイトに食い込んでいないものは、もともと共生体ではなかった可能性があるかも?
カバンサイトの鮮烈なグリニッシュブルーは、主成分のひとつであるバナジウムによる発色。
この色に魅了される人は多く、細い柱状結晶が放射状に結晶したもの(私が青ウニと呼ぶもの)がミネラルフェア等で毎回たくさん売られています。
見た目の良く似た鉱物「ペンタゴナイト」とは同質異像で結晶構造が違うものの、状態の悪い標本や加工品では区別が難しい場合が多いです。
ペンタゴナイトには結晶の断面が星形になる特徴があり、ペンタゴン(五角形)が名前の由来になっています。
こちらも推定インド産の結晶。
明るいブルーのカバンサイトの両面に、透明~半透明の白いスティルバイトがクラスターを形成しています。
束状に結晶したスティルバイトはまるでかき氷。ブルーハワイを彷彿とさせます。
バイカラー・フローライト-蛍石
2014/07/13/Sunday
【bi-color Fluorite】New Mexico, USA
鉱物名:フローライト宝石名:バイカラー・フローライト
英名:bi-color Fluorite
和名:蛍石
モース硬度:4
劈開:四方向に完全
産地:アメリカ、マダガスカル、イングランド、カナダ、中国etc...
処理:-
流通名:フローライト/フルオーライト
バイカラーやトリカラー、グラデーションや縞々模様。
一部産地のフローライトには、複数の色の組み合わせを楽しめるものがありますが、青色は産出量が少なく、現在はニューメキシコでしか採れないとか。
ニューメキシコからは淡いブルー~パープルのバイカラーの産出が多く、画像の石は結晶内部で色が層状に重なっているため、中心部に紫色のファントムが見えています。
結晶表面はフローライトの魅力のひとつでもあるエッチングがびっしり。まるで磨りガラスのような質感の奥に潜む紫色…私は細胞核を連想しました。
フローライトの名前の由来は、ラテン語の「fluere」。
これは製鉄の際、鉄鉱石を溶かしやすくするためにフローライトを用いたことから「鉄を流れる液体に変える」という意味でつけられた名前です。
また、日本名の蛍石は、紫外線をあてると蛍のように蛍光するから…ではなく、フローライトを火で加熱すると発光する性質からきています。
紫外線で蛍光する性質はフローライトで初めて発見されたため、フローレッセンス(蛍光現象)という言葉の元にもなっています。
フロゴパイト-金雲母
2014/04/07/Monday
【Phlogopite】Madagascar
鉱物名:フロゴパイト宝石名:-
英名:Phlogopite
和名:金雲母
モース硬度:2.5-3
劈開:一方向に完全
産地:マダガスカル、アフガニスタン、フィンランド、日本etc...
処理:-
流通名:金雲母
ゴールデン・マイカ
スター・マイカ(アステリズムを示すもの。星形の結晶は白雲母のため別物)
マイカ(雲母の総称)
きらら/きら(雲母の俗名)
雲母(マイカ)の一種で、6角板状に結晶します。組成は黒雲母(Biotite)とほぼ同じですが、鉄が少なくマグネシウムが多く含まれます。
金色の輝きから、ギリシア語の「phlogopos(炎のような)」が語源。
アフガニスタンでは良質な金雲母の産出が多く、一見雲母とは思えないような透明度の高いオレンジ~黄色の結晶や、蛍光する結晶が産出しています。
内包するルチルの影響でスターが出るカナダ産の金雲母は「星雲母(スター・マイカ)」と呼ばれていましたが、現在「スター・マイカ」と呼ばれているものは、結晶が星型(貫入双晶)になった白雲母(モスコバイト)を指すことが多い様子。
雲母は熱や電気を通しにくいため、絶縁体としても有用な鉱物です。
「千枚はがし」とも呼ばれるように、一方向に完全な劈開を持ち、薄く剥がれやすい性質を持っています。七宝の焼成では、釉がこぼれても簡単に剥がせるように、胎の下に薄く広い雲母を敷いて使うこともあります。
金雲母の丸玉ビーズなども流通していますが、端から剥がれ落ちてしまうのではないかとちょっとヒヤヒヤ。
エメラルド-翠玉
2014/04/06/Sunday
【Emerald】Canaiba, Brazil
鉱物名:ベリル宝石名:エメラルド
英名:Emerald
和名:翠玉/緑玉
モース硬度:7.5-8
劈開:不明瞭
産地:コロンビア、ブラジル、マダガスカル、ザンビア、南アフリカ、インドetc...
処理:透明度の改善を目的とした透明材含浸(ほぼ全て)
流通名:エメラルド
レッド・エメラルド(レッド・ベリルの誤称)
「傷のないエメラルドを探すのは、欠点のない人間を探すより難しい」
そんな言葉の通り、エメラルドは生成の過程で多くのインクルージョンを含む石です。
エメラルドはベリルの一種。特有の美しい緑色は微量のクロムやバナジウムが入り込むことによって得られるものですが、このインクルージョンの混入こそがベリル結晶の成長を阻害し、傷が生まれる原因となっています。
良質なエメラルドとは、傷が少なく、且つ発色の美しいものを指しますが、完璧に傷のないエメラルドを得ることはまず現実的ではありません。
傷はむしろエメラルドの天然の証とも言えます。
エメラルドは、結晶の成長過程で液体、気体、個体のインクルージョンを閉じ込めた状態で産出します。その原石をカットすると、カット面からインクルージョンが流出し、結晶内部に空洞が出来るので、どうしても透明度が下がってしまいます。
そのため、人為的な加工によって透明度が下がったエメラルドを、本来の美しい状態に復元するという意味で、透明材の含浸処理が認められています。
通常、ジュエリー・アクセサリーに使用されるエメラルドのほとんど全てには、見た目の透明度の改善を目的とした透明剤(無色オイル、合成樹脂等)の含浸処理が施されています。
そのことを意識せずにいると、過度な水洗いによってオイルが流出して白っぽくなってしまったり、目に見えないクラックに衝撃が加わることである日突然欠けてしまったりといったトラブルも起こります。
一見、傷がないように見えても、超音波洗浄やリペア・リフォームを断られることがあるのは、そういった理由からです。
※「エメラルドはサラダ油で含浸されている」という話があるそうですが、実際には、エメラルドに屈折率が近く、時間の経過により固形化するツェーデル油が用いられます。
※オイルが抜けてしまったエメラルドを一時的に見栄え良くするために、サラダ油に浸す方法が紹介されていることがあります。サラダ油でも含浸は出来ますが、屈折率が高すぎてツェーデル油ほどの改善効果はなく、固形化もしないためすぐに流出してしまうので、飽くまで一時的な処置となります。
エメラルドの語源は、サンスクリット語で緑色の石を意味する「スマラカタ」。
これが変化し、ギリシア語で「スマクラグドス」→ラテン語で「スマラグダス」→俗語で「スマラルダス」→古フランス語で「エスメラルド」→現在の「エメラルド」になったといわれます。
色の名前で「エメラルド・グリーン」がありますが、この色はやや明るめのエメラルド。エメラルドのなかでは、やや暗めの深い緑色が最高の色と言われています。
産地によっても品質や色合いが異なりますが、傷が少なく色の美しいエメラルドが欲しい場合は、コロンビア産のものがおすすめです。
*レッド・エメラルド?*
エメラルドをエメラルドたらしめるものは、クロムとバナジウムによる緑色の発色。
しかし最近「レッド・エメラルド」という言葉を聞きます。
これは、ユタ州のワーワー山脈で産出されていた(現在は絶産)赤いベリルのフォールスネームです。
赤いベリルの宝石名は「ビクスバイト」ですが、別の鉱物である「ビクスビ鉱」と名前がそっくりで紛らわしいことが悩みの種。「レッド・ベリル」という呼称もあるのですが、ベリルという名前はマイナーなので、売りやすい「エメラルド」の名前を拝借し、「赤いエメラルド」が出来上がったということのようです。
もちろん赤いエメラルドは存在しないため、美しい赤い「エメラルド」に出会ったら、赤いベリルとして扱ってください。
プロフィール
HN:
Yati
HP:
性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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鉱物名や分類等の情報の変更につきましても
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