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ivy cageの工房に散らばる石ころのご紹介。
アンフィボール in クォーツ-角閃石入水晶
【Amphibole in Quartz】Brazil

鉱物名:クォーツ
宝石名:アンフィボール in クォーツ/サージェニティック・クォーツ
英名:Amphibole in Quartz/Sagenitic Quartz
和名:角閃石入水晶/針入水晶
モース硬度:7(水晶の硬度)
劈開:なし
産地:ブラジル

処理:透明剤の充填(一部)

流通名:アンフィボール in クォーツ(角閃石入水晶)
     サージェニティック・クォーツ(針状結晶を内包する水晶の総称)
     サージェナイト(針状結晶を内包する水晶の総称)
     ヘマタイト in クォーツ(ヘマタイト内包)
     サンセット・クォーツ(ヘマタイトorリモナイト内包?)
     エンジェル・クォーツ(針状結晶の長く揃ったもの)
     ターラ・クォーツ(主に白~青~緑の針状結晶内包。ターラ菩薩に因む)
     ラビットヘア・ルチル・クォーツ(ルチルは誤称)
     オレンジ・クォーツ(誤称?)
     オレンジ水晶(誤称?)
     ヘマタイト・クォーツ(誤称?)


アンフィボールinクォーツとは、アンフィボール(角閃石)グループの鉱物を内包した水晶のこと。
アンフィボールの結晶は殆どが針状のため、アンフィボールを含む水晶は「サージェ二ティック・クォーツ(針入水晶)」の一種となります。
写真は酸化したヘマタイトを伴うアンフィボールの微細な結晶を内包しているためにオレンジ色に見える水晶。

アンフィボールinクォーツは、内包するアンフィボールの種類や色、結晶の様子によって呼び名が変わります。
オレンジ~黄色のアンフィボールは、白いアンフィボール(繊維状のトレモライト)が酸化ヘマタイトを伴い色付いて見えるもの。
これが成長途中の水晶ポイントに付着し、後にファントムとして残ったものは「ファントム・クォーツ」。はっきりとしたファントムにならずぼんやりとした山型の影のようになったものは「ゴースト・クォーツ」。
天使の羽根を思わせる細く白い針状結晶が並んだものは「エンジェル・クォーツ」、ふわふわとした毛のような様子なら「コットン・クォーツ」「ラビットヘア・ルチル」などと呼ばれます。

※「ファントム」と「ゴースト」の区別には諸説あり、明確な定義はないようです。

※針状結晶=ルチル・クォーツという誤解から、針状の内包物を含む水晶は「ルチル・クォーツ(ルチレイテッド・クォーツ)」または「ルチル」として流通するケースが多発しています。

Tangerine Quartz】Brazil
*ヘマタイト in クォーツとタンジェリン・クォーツ*
画像は酸化したヘマタイトの付着により表面のみオレンジ色になった「タンジェリン・クォーツ」。
オレンジ~黄色の水晶として混同され、ヘマタイトの付着した水晶を示す「タンジェリン・クォーツ」「オレンジ水晶」などの名称が、ヘマタイトを内包する水晶にも用いられている場合がありますが、「タンジェリン・クォーツ」のヘマタイトは表面だけで、中の水晶の色はそのままなので、二種類の判別は難しくありません。
タンジェリン・クォーツ-蜜柑水晶
Tangerine Quartz】Brazil

鉱物名:クォーツ
宝石名:タンジェリン・クォーツ
英名:Tangerine Quartz
和名:蜜柑水晶
モース硬度:7
劈開:なし
産地:ブラジル、アメリカ、インド、マダガスカル、スペイン、ロシアetc...

処理:-

流通名:タンジェリン・クォーツ
     タンジェリック・クォーツ
     タンジェリーナ(ブラジルポルトガル語で「蜜柑」)
     タンジェリン水晶
     タンジェ・ローズ・クォーツ(タンジェリン・クォーツより色が赤い)
     ラランジーニャ(ブラジルポルトガル語で「蜜柑」)
     マンダリン・クォーツ(ブラジルポルトガル語で「蜜柑」)
     オレンジ・クォーツ
     オレンジ水晶
     蜜柑水晶
     ヘマタイト・クォーツ(ヘマタイト イン クォーツではない)
     ヘマタイト オン クォーツ


表面に酸化したヘマタイトが付着し、オレンジ~黄色に見える水晶。
オレンジ色=柑橘類ということで、産地であるブラジルの言葉(ブラジルポルトガル語)の「ラランジーニャ」や「タンジェリン」、日本語では「蜜柑」の名がつきます。
ヘマタイトの付着による発色は表面のみで、水晶自体は本来の色のままです。



【Amphibole in Quartz】Brazil

*タンジェリン・クォーツとヘマタイト イン クォーツ*
オレンジ~黄色の水晶として混同されやすいのが、ヘマタイトもしくはヘマタイトを伴った他種鉱物等を内包することにより発色した「ヘマタイトインクォーツ」。
画像はヘマタイトを伴うアンフィボール(角閃石)を内包した水晶です。
表面のみの発色であるタンジェリン・クォーツとは異なり、多量のヘマタイトが内包されることで水晶自体が色付いて見えます。
この二種類の判別は容易ですが、「オレンジ水晶」「タンジェリン・クォーツ」「ヘマタイト・クォーツ」など、同じ名前で流通しがちです。
レピドクロサイト in クォーツ-鱗鉄鉱入水晶
【Lepidocrocite in Quartz】
鉱物名:クォーツ
宝石名:レピドクロサイト in クォーツ
英名:Lepidocrocite in Quartz
和名:鱗鉄鉱入水晶
モース硬度:7(水晶の硬度)
劈開:なし
産地:マダガスカル、ブラジル、ナミビアetc...

処理:-

流通名:レピドクロサイト in クォーツ
     ファイア・クォーツ(炎、火の粉のような様子から)
     ハーレクイン・クォーツ(道化師の斑の衣裳から)
     ストロベリー・クォーツ(誤称?)
     苺水晶(誤称?)
     スーパーセブン(7種揃っている必要はない?)
     セイクリッド・セブン(7種揃っている必要はない?)
     エレスチャル(誤称を含む。スーパーセブンと関連)


透明水晶にレピドクロサイト(鱗鉄鉱)が内包されたもの。
レピドクロサイトは水酸化鉄の一種で、結晶は鱗状~針状で色は赤~黒。
赤いレピドクロサイトを多量に含む水晶は、外観から「ファイア・クォーツ」と呼ばれます。
「ハーレクイン」とはパントマイムを演じる道化師の名前。
ハーレクイン(イタリア語ではアルレッキーノ、フランス語ではアルルカン)は斑模様のタイツを履いており、レピドクロサイトの模様がこれを連想させたためでしょう。

【Goethite in Quartz】India
*ストロベリー・クォーツ?*
同じく水酸化鉄で針状の結晶を持つ、ゲーサイト(針鉄鉱)という鉱物があります。
レピドクロサイトとゲーサイトは同質異像。組成が同じで、結晶形が違うものです。
赤いゲーサイトを多量に内包し苺色に見える水晶を「ストロベリー・クォーツ」と呼びますが、レピドクロサイト入りの水晶も「ストロベリー・クォーツ」として扱われることがあります。
そもそも「ストロベリー・クォーツ」と呼ばれるものはメキシコ産・カザフスタン産の、細かな赤いゲーサイトがびっしりと入って苺色になった水晶のこと。
しかしストロベリー・クォーツの人気が高まるにつれ、赤い内包物の入った水晶、もしくはそれに近いもの、見た目の少しでも似ているものが「ストロベリー・クォーツ」として流通するようになりました。
例えば、ゲーサイトではあるけれど結晶の色が黒いものや、クォーツ・シストに赤いエピドートを含むもの、レピドクロサイト結晶の目立つサンストーン、そしてレピドクロサイトを含む水晶。
「ストロベリー・クォーツ(っぽい石)」のなかでは、成分的に最も近いものはレピドクロサイトインクォーツでしょう。しかし見た目や色味の違いもあり、やはり苺というよりは炎や斑模様のほうがしっくりとくるような気がします。



*スーパーセブン? エレスチャル?*
7種の鉱物が共生するエレスチャルであるという「スーパーセブン(セイクリッド・セブン)」にレピドクロサイトやゲーサイトが含まれているため、レピドクロサイトやゲーサイトのみ内包された水晶であっても「スーパーセブン」という名前がつけられる場合があります。
曰く、「スーパーセブン」が産出された鉱山で取れたものは、7種揃っていなくとも「スーパーセブン」なのだとか。
「スーパーセブン」はパワーストーン関係のコマーシャルネームで鉱物名や宝石名とは扱いが異なるため、詳細は不明です。
また、スーパーセブンの扱い→しかし鉱物が7種揃っていない→では単なるエレスチャルに…という流れで、7種に満たない「スーパーセブン」が「エレスチャル」として流通したために、「エレスチャル=特定の内包物入り水晶」という誤解が生じ、エレスチャルと呼べる結晶以外のレピドクロサイトinクォーツまでが「エレスチャル」として流通する、ということが起きています。
表面が磨かれてしまっている場合は、元の形がエレスチャルであったかどうかは分かりません。
また「エレスチャル」が結晶の形を指す名前であるならば、原型が分からないほど磨かれたものに対して用いるというのは、如何なもの?
サンムーンストーン
【Sun Moon Stone】South Ural, Russia

鉱物名:フェルスパー
宝石名:スターフェルスパーetc...
英名:Star Feldspar
和名:-
モース硬度:6-6.5
劈開:二方向に完全
産地:ロシア、タンザニア

処理:透明度の改善を目的としたオイル含浸(一部)

流通名:サンムーンストーン
     スター・サンストーン
     スター・サンムーンストーン
     シルバーシャイン・ムーンストーン
     ゴールデンシャイン・ムーンストーン
     シャイン・フェルスパー
     ゴールド・ムーンストーン


サンストーンのアベンチュレッセンスと、ムーンストーンのアデュラレッセンスの両方を示すフェルスパーを「サンムーンストーン」と呼びます。
最初に「サンムーンストーン」の名前で流通したのは、ロシア・ウラル産のアノーソクレース(アルバイトと、オーソクレース・サニディン・マイクロクリン等カリ長石類の固溶体)にヘマタイトを内包したもの。
非常に強い虹色のアベンチュレッセンスと白いアデュラレッセンスを同時に示しますが、現在は鉱山が閉山しており流通量はごく僅かのようです。

【Star Feldspar】Tanzania

現在大量に流通しビーズ等にも加工されているものはタンザニア産。
ある角度からは平行に並んだレピドクロサイトやヘマタイト等の内包物によるアベンチュレッセンスとシャトヤンシー(キャッツアイ効果)やアステリズム(スター効果)、また別の角度からは白いアデュラレッセンスが見られる、恐らくはマイクロクリン(微斜長石)が主となったもの。
強い光を当てると十字スターが見られるスター・フェルスパーと同じか非常に近いものと考えられます。
サンストーン-日長石
【Sunstone】Myanmar
 
鉱物名:フェルスパー
宝石名:サンストーン
英名:Sunstone
和名:日長石
モース硬度:6-6.5
劈開:二方向に完全
産地:ミャンマー、ノルウェー、カナダ、タンザニア、インド、アメリカ(オレゴン・サンストーンのみ)

処理:処理:透明度の改善を目的としたオイル含浸(一部)

流通名:サンストーン
     ヘリオライト(「太陽の石」の意)
     アベンチュリン・フェルスパー(アベンチュレッセンスを示すフェルスパーの意)
     マイカ・サンストーン(マイカ入りではない)
     オレゴン・サンストーン(ラブラドライト)
     サンストーン・ラブラドライト
     スター・フェルスパー(アベンチュレッセンスとアステリズムを示す)
     サンムーンストーン(アベンチュレッセンスとアデュラレッセンスを示す)
     アイオライト・サンストーン(サンストーンではない)
     ストロベリークォーツ(誤称)


フェルスパーグループのうち、内包されたレピドクロサイトやヘマタイトあるいは銅に光が反射しアベンチュレッセンスが見られるものを「サンストーン」と呼びます。
別名の「ヘリオライト」は、ギリシア語で「太陽の石」を意味します。
特にオリゴクレースにぎっしりとレピドクロサイトやヘマタイトを含み、半透明~不透明に見える南インド産のサンストーンが代表的です。
他に、タンザニア産の透明度の高いオリゴクレースに大きめのレピドクロサイトやヘマタイトがまばらに散った「マイカ・サンストーン(マイカは誤称)」
オレゴン産の透明度の高いラブラドライトに細かな銅片を含む「オレゴン・サンストーン」
サンストーンのアベンチュレッセンスとムーンストーンのアデュラレッセンスの両方を示す「サンムーンストーン」等があります。

【Sunstone】Tanzania

*マイカ・サンストーン*
タンザニア産の透明~薄緑色のオリゴクレースの中に、オレンジ色の内包物が疎らに散って見えるものが「マイカサンストーン」の名前で流通しています。
ただし内包物はマイカ(雲母)ではなく、他のサンストーンと同じくヘマタイトやレピドクロサイトです。
マイカ入りではないのに何故「マイカ」の名がついたのかは謎です。

※アベンチュレッセンスからの連想で内包物を雲母とした?
  ヘマタイトの形状のひとつ、雲母のように薄い結晶が密集した「雲母鉄鉱」絡みの可能性も?

【Oregon Sunstone】Oregon, USA

オレゴン・サンストーン
アメリカ・オレゴン州で産出する、透明度の高いオレンジ~緑色のラブラドライトに、非常に細かい砂のような銅によるアベンチュレッセンスを示すサンストーンです。「サンストーン・ラブラドライト」とも呼ばれます。
同時にラブラドレッセンスを示すものもあります。

【Star Feldspar】Tanzania

スター・フェルスパー/キャッツアイ・サンストーン
サンストーンの内包物が平行に並んでいる場合、光が当たるとシャトヤンシー(キャッツアイ効果)やアステリズム(スター効果)が現れます。
マイクロクリン(微斜長石)にヘマタイトを含むタンザニア産のサンストーンには、平行に並び且つ交差した内包物による十字スターが見られます。
写真の石もペンライト等の強い光でスターが出ますが、撮影が難しく断念…

【Sun Moon Stone】South Ural, Russia

サンムーンストーン
サンストーンのアベンチュレッセンスと、ムーンストーンのアデュラレッセンスの両方を示すフェルスパーを「サンムーンストーン」と呼びます。
最初に「サンムーンストーン」と呼ばれたものはロシア産のアノーソクレースにヘマタイトを含んだもので、現在は鉱山が閉山しており流通量は減少、特にビーズではまったく見掛けません。
現在多く流通しているものはこれと異なり、上記の「スター・サンストーン」と恐らくは同じか似たタイプで、アベンチュレッセンスとアデュラレッセンスとアステリズムを併せ持つもの。
 
 
Bloodshot Iolite】India

アイオライト・サンストーン
内包されたヘマタイト結晶によりアベンチュレッセンスが見られるアイオライト(コーディエライト)。
暗めの青に赤~オレンジ色の輝きが美しい石ですが、フェルスパーではないため、厳密にはサンストーンには含まれません。
「アベンチュリン・アイオライト」「ブラッドショット・アイオライト」とも呼ばれます。



*ストロベリー・クォーツ?*
レピドクロサイトを内包する水晶を「ストロベリー・クォーツ」とする場合がありますが、レピドクロサイトを含むフェルスパーであるサンストーン(特に透明度の高いもの)が「ストロベリー・クォーツ」とされていることがあります。
「ストロベリー・クォーツ」の定義には曖昧な点もありますが、クォーツであることが大前提であるため、これは全くの誤称となります。
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プロフィール
HN:
Yati
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性別:
女性
職業:
アクセサリー作家
趣味:
写真、音楽、鉱物の蒐集、調べもの
自己紹介:
銀と鉱物でアクセサリーを作りつつ
宝飾業界のはじっこのほうで
いろいろ考えたり調べたり遊んだりしている
ただの石好きです。
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